「全ての人に最適なワンプラン」――楽天モバイルの代表取締役会長 兼 CEOの三木谷浩史氏は、新料金プラン「Rakuten UN-LIMIT VI」について、こう語る。
新プランは、従来の月額2980円で自社エリアは無制限でデータ通信可能という特徴は維持し、20GB以下の小容量〜中容量を値下げ。1GBまでは0円、1GB〜3GBは月額980円、3GB〜20GBは月額1980円とした。
シンプルな「ワンプラン」という特徴も変えず、利用するデータ通信量に応じた料金にすることで、プランを増やすことなく、より多くのユーザー層をカバーできるようにした。
三木谷氏は楽天モバイルの料金プランについて「もともと、インターネットやスマートフォンをたくさん使う人に向けて、シンプルな形にすることを目標にしてきた」と話すが、日本ではライトユーザーの方が多い。総務省の統計によると、モバイルデータ通信の利用量が月間5GB以下のユーザーが66%を占める。そこで、ライトユーザーにもヘビーユーザーにもマッチするよう、「全国民に最適なワンプランを提供しないといけない」と同氏。
例えば、毎月50GB以上データ通信を利用するようなヘビーユーザーは、月額2980円で楽天エリアは使い放題となる。一方で、フィーチャーフォンからスマートフォンに移行したばかりの人など、1GB以内に収まるライトユーザーなら0円で済む。また月によってデータ使用量にムラがある人も、データ通信量に見合った金額に近づく。
NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクが月額2480円〜2980円のオンライン専用20GBプランを発表したことで、楽天モバイルの優位性が薄まりつつあったが、Rakuten UN-LIMIT VIは20GBで月額1980円になるため、同じ20GBなら楽天モバイルの方が500円〜1000円安くなる。楽天モバイルは店舗でも受け付けていることから、スマホ初心者でも安心できることも三木谷氏は強調した。また2021年夏からは、キャリアメールを提供する予定であることも明かした。
楽天モバイルでは、300万人を対象に基本料金を1年間無料としており、現在の契約数は220万強だという。無料の枠は残り80万ほどあるので、今申し込めば、1年間無料の特典が適用される。
新料金プランは、20GB以下については実質的な値下げとなる。楽天モバイルでは、獲得ユーザー数が700万に達すると、黒字に転換する見通しを示しているが、値下げによってこの指標も変わるのだろうか。三木谷氏は「変わると思うが、獲得コストは下がるので、黒字化になるタイミングは変わらないのでは」との考えを示した。
加えて、「楽天モバイルに入る人は、楽天のサービスを使う人が多い」ことも分かってきており、楽天モバイルのユーザーを楽天経済圏に取り込むことによる収益増も目指す。「世界のモバイルの会社は、土管ではもうからないということで、周辺領域をやっているが、うちは周辺領域はほぼ完璧」と自信を見せた。
楽天回線のエリアについては、2021年1月時点で人口カバー率は73.5%に達しており、2021年夏頃には96%まで拡大する見込み。さらに2023年以降は、米ASTとの協業による「スペースモバイル計画」で衛星から電波を飛ばすことで、「地理的なカバー率が100%になる」と三木谷氏は意気込む。「人が住んでいないところに行こうが、無人島に行こうが、楽天モバイルは入る。2023年は宇宙からもつながる」(同氏)
衛星での通信がどこまで実用的かは不透明な部分が多いが、楽天モバイルの山田善久社長は「これから本格的な実証実験を始めるところ。電波の免許など、いろいろとクリアしないといけないハードルはあるが、総務省で本件に関するタスクグループができており、他の携帯3社も入っている。電波が干渉しないかも検証している。夢物語ではなく、実務レベルで業界全体で検討している」との見通しを話した。
一方で、楽天モバイルは現在LTEでは1.7GHz帯の周波数しか保有していないため、700MHz帯〜900MHz帯の「プラチナバンド」は必要との認識。三木谷氏は、プラチナバンドの再編は求めていく考えも示した。
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2021-01-29 11:54:00Z
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