日本製鉄は21日、カナダの鉱山会社テックリソーシズ社と製鉄向け石炭事業で出資契約を結んだと発表した。テック社からスピンオフ(分社・独立)される事業会社の株式の一部などを取得する。取得額は総額約11億5000万カナダドル(約1100億円)。同社から高品質な石炭を調達し、高炉で水素を使い鉄鉱石を還元する次世代技術の水素製鉄でも活用する。高品質な石炭を使えば還元で石炭の使用量を抑えられるようになる。
21日にオンラインで記者会見を開いた日鉄の広瀬孝副社長は「カーボンニュートラルな鉄鋼生産プロセスにおいて、必要不可欠な高品質原料炭の安定調達を図る」と今回の出資の意義を強調した。同社の原料権益投資として過去最大規模になるという。
日鉄はテック社から分離して上場予定のエルクバレーリソーシズ社(EVR社)の普通株を10%取得するほか、優先株10%なども取得する。将来的にEVR社の持ち分法適用会社化も視野に入れる。EVR社は製鉄用原料炭事業を手掛け、年間生産能力は2500万〜2700万トンになる。
日鉄は今回の出資により原料炭の中でも高品質なものを調達できるようになる。高炉を使い、水素で鉄鉱石を還元する次世代技術の商業化をめざしている。高品質な原料炭は脱炭素時代にも一定程度の活用が見込めるとみて今回の投資を決めた。原料権益を確保することで、原料の市況に左右されにくい事業基盤を構築し、安定的に利益を稼ぐこともできるとしている。
日鉄はこれまでオーストラリアなどで原料炭の権益を所有してきた。原料調達の強化を段階的に進める考えで、高炉と比べ二酸化炭素(CO2)排出量が少ない電炉の原料である「還元鉄」製造の事業化を目指す方針も打ち出している。
鉄鋼業界はCO2の排出量が高く、国内産業部門の4割程度を占める。高炉で鉄鉱石を原料炭で還元する際に多くのCO2を排出する。高品質な石炭を使えば効率的に還元でき、石炭使用量の削減につながる。
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2023-02-21 13:11:04Z
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