Kamis, 16 Februari 2023

ゼンショーHD、「ロッテリア」を買収 ロッテHDから - 日本経済新聞

ゼンショーホールディングス(HD)は16日、ハンバーガー店のロッテリア(東京・新宿)を買収すると発表した。買収額は非公表。ゼンショーHDは現在、バーガー店を持っていない。持ち帰りや配達と相性の良いバーガーは新型コロナウイルス下で需要が拡大した。多様な外食店を傘下に持つゼンショーHDはコロナ後を見据え、今後の成長が期待できるバーガー店を加えて事業拡大につなげる。

ロッテHDからロッテリアの全株式を4月1日に取得する。「ロッテリア」の店舗名は一定期間は維持するが、将来はブランド名が変わる可能性がある。ロッテリアの店舗数は358店(1月時点)で、バーガーチェーン3位に位置する。

ゼンショーHDは、ロッテリアを傘下に入れることで食材調達や物流などの効率化といった相乗効果を見込む。牛丼店「すき家」などグループの大半の店舗で直営形態の運営方式を採用している。ロッテリアはフランチャイズチェーン店も一定数展開するが、店舗運営や組織については現状を維持する方針だ。

新型コロナ下の巣ごもりで宅配などの需要が拡大した。「冷めてもおいしく食べられるバーガーは宅配に適している」(中堅外食)として支持を集めている。持ち帰りや宅配に強い日本マクドナルドHDは、2023年12月期の連結営業利益で前期比4%増の350億円と最高益を見込む。

ゼンショーHDにとってバーガー店は再挑戦となる。02年に当時のダイエーから「ウェンディーズ」を買収したが販売が伸び悩み、09年に撤退した。それでもバーガー店はかねて「事業構成のなかで必要な要素だった」(同社)。コロナ下では店舗で食べる外食ニーズがしぼみ、バーガー店の魅力が一段と高まった。

日本のバーガー市場は、1970年代から国内外のチェーンが登場して外食市場をけん引してきた。ただ競争も激しく、撤退と再進出を繰り返した海外ブランドもある。現在は首位の日本マクドナルドHDが約2900店を展開し、モスフードサービス(約1200店)など他チェーンとの差が開くばかりだ。

バーガー業界は2000年代以降、競争は激しくなっている。客単価が1人1000円を超える個人経営のグルメバーガー店も増え、15年には米シェイクシャックが進出した。フレッシュネスバーガーをコロワイドが傘下に収め、鳥貴族ホールディングスが「トリキバーガー」を出店するなど参入も相次いでいる。

ゼンショーHDは、バーガー店を増やしていく方針とみられるが、生き残りは容易ではない。

ロッテHD、菓子事業を強化 

ロッテリアは、「マクドナルド」が日本1号店を開いた翌1972年に設立された。競合チェーンとの価格競争などで業績が低迷し、05年には経営立て直しのため、現ロッテHD社長の玉塚元一氏が参画する企業再生会社のリヴァンプ(東京・港)から出資を受けた。玉塚氏が会長兼最高経営責任者(CEO)を務めた時期に不採算店を閉鎖したほか、「絶品チーズバーガー」などのヒット商品も生み出した。

ロッテHDは、構造改革が進んだロッテリアを10年に再び完全子会社化した。だが、単独の税引き利益は22年3月期までの5年間で2度の赤字と苦しい状況が続いていた。今回、事業ポートフォリオを見直す一環として、売却を決めたとみられる。今後は傘下のロッテが手がける菓子事業の強化を進める。22年にはチョコレート製造・販売の新興企業を買収した。市場が縮小傾向にあるガムでは、スポーツ用の商品を出すなどテコ入れを急ぐ。

(松川文平、河野舜)

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