楽天が7日発表した2019年1~9月期の連結決算(国際会計基準)は、最終損益が141億円の赤字(前年同期は1079億円の黒字)に転落した。金融事業は好調だったが、投資先の米ライドシェア大手リフトに関連して約1000億円の損失が発生した。このほか新規参入した携帯電話事業での先行投資、インターネット通販での物流投資を含めた3つの重荷がのしかかっている。
「さまざまな要因で株価が下がったが、リフトの事業には信頼を置いている」。7日に記者会見した三木谷浩史会長兼社長。1~9月期として8年ぶりの最終赤字となったものの、強気の姿勢を崩さなかった。
楽天はリフトに11%を出資。3月のリフト上場では約1100億円の株式評価益を計上した。一方、その後のリフトの株価下落で7~9月期は1028億円の減損損失が発生した。ライドシェアは成長分野だが競争も激しい。ソフトバンクグループ同様、スタートアップへの投資は、今後も楽天の業績が大きくぶれる要因になりかねない。
鳴り物入りで参入表明した携帯電話事業も順調でない。10月から順次、東京や大阪などで5000人を対象に携帯電話の試験サービスを始めた。だが一部の利用者から「圏外で開通しない」「地下でつながりづらい」などの苦情が寄せられ、通信網の課題が改めて浮き彫りになっている。
「もうすぐ3000局。一刻も早く本格参入できるように頑張ります」。11月2日、三木谷社長はツイッターで基地局整備の現場での写真をアップした。7日の会見では年末までに計3000局が稼働し、さらに1500局で契約締結を予定しているとの計画を公表。「生みの苦しみだが顧客獲得で自信がある」と胸を張った。
ただ、先行投資が重荷となり、1~9月期の携帯事業の営業赤字は334億円(前年同期は88億円)に膨らんだ。携帯電話事業の本格参入の時期について、三木谷社長は「基地局のカバー率と技術的なところを詰めて、早急に商用化したい」と述べるにとどめた。
19年1~9月期の売上高にあたる売上収益は前年同期比15%増の9057億円。一方、営業利益は1129億円と15%減だった。電子商取引(EC)の成長やクレジットカードなどの金融事業で売り上げが伸びたものの、携帯のほかネット通販の物流網整備の先行投資が減益要因となった。背景には米アマゾン・ドット・コムやZホールディングス(旧ヤフー)との激しい競争がある。
ネット通販の配送費を巡っては出店者とのすきま風も吹いている。「楽天市場」では出店事業者ごとに自前で配送業者と契約するため配送料が異なっている。ただ、利用者からは「分かりづらい」との声が多い。
楽天は20年春までに一部地域を除き、3980円以上の買い物をした場合、配送料を無料にする計画を打ち出した。だが一部出店者は「負担が増える」と強く反発し、10月5日に楽天に配送料や規約改定を見直すように求める団体が発足。参加は200社を超えた。
各種の費用が利益を圧迫するなか、主力のネット通販の成長は業績改善の源泉だ。だが物流問題などで出店者の不満が広がれば、ネット通販の品ぞろえやブランドイメージにも影響しかねない。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO51930380X01C19A1TJ2000/
2019-11-07 13:01:34Z
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