Jumat, 18 Desember 2020

ドコモ新料金プランの狙いを解説 「5Gは容量無制限」「正価の安さ」が強み - ITmedia

 ahamoの発表に続き、NTTドコモは、予告していた「ギガホ」の値下げに踏み切った。5G用の「5Gギガホ」と、4G用のギガホを共に値下げしつつ、データ容量も改定。それぞれキャンペーンとして適用されていた容量を恒久化し、5Gギガホではテザリングまで含めた無制限を実現する。

 合わせて、フィーチャーフォンからスマートフォンに乗り換えたユーザーを対象したキャンペーンも、正式料金化した。「はじめてスマホプラン」と銘打ち、月1650円の料金を打ち出している。1回5分までの無料通話もつき、4Gだけでなく5Gも利用可能だ。今回は、それぞれの新料金の狙いを読み解いていきたい。

ドコモ ギガホの値下げに踏み切ったドコモ。合わせて、フィーチャーフォンから移行したユーザーに向け、はじめてスマホプランも導入する

プレミアカテゴリーのギガホをリニューアル、5Gは1000円値下げに

 ahamo導入時に、ドコモは料金プランを3つの体系に分けた。既存の料金プランであるギガホやギガライトは「プレミア」に位置付け、「ご家族でお得に使える料金を、少量から大容量まで幅広く提供する」(副社長執行役員 田村穂積氏)ことをコンセプトに据えた。もっとも、ahamoは料金プラン自体をコンセプト化しただけで、料金体系自体はギガホとギガライトの2本立てだ。新たにはじめてスマホプランを導入するが、これはフィーチャーフォンから移行したユーザーのための“特別プラン”といえる。

ドコモ ahamo発表時に、料金プランを3つのカテゴリーに分けた。値下げしたギガホは、ショップなどのサポートを受けられるプレミアのプランだ

 一方で、金額は4月1日から値下げする。最も値下げ幅が大きいのが5Gギガホだ。同プランはもともと、各種割引適用前の料金が7650円。新たに導入する「5Gギガホ プレミア」では、これを1000円引き下げ、6650円に設定した。また、終了期間未定のキャンペーンとしていた容量無制限を、正式プラン化。テザリングまで含め、データ通信が使い放題になる。さらに、ソフトバンクの「メリハリプラン」や、KDDIの「データMAX」と同様、使わなかった月の料金を1500円割り引く。ソフトバンクやKDDIは2GBをしきい値にしているのに対し、ドコモは3GB以下を1500円割引の対象にした。

ドコモ 5Gギガホは1000円値下げし、6650円に設定。3つの割引を適用すると、4480円まで料金が下がる
ドコモ データ容量は100GBから無制限に。5Gギガホのキャンペーンが恒久化した

 新料金プランと言いながらも、料金体系はギガホ、ギガライトと同様で、各種割引も適用される。「みんなドコモ割」では、家族で2契約の場合500円、3契約以上の場合は1000円割引になる他、ドコモ光とのセット割引である「ドコモ光セット割」でも1000円の割引を受けられる。家族でお得に使えるというコンセプトは、この割引を含めてのこと。2つの割引をフル適用すると、5Gギガホ プレミアの料金は4650円まで下がる。ここに、2年契約の代わりに導入した「dカードお支払割」を加えると、料金は4480円になる。

 4G用のギガホも、値下げと容量追加を行い、6550円という価格を打ち出した。ただし、値下げ幅は5Gギガホより少ない600円。もともと5Gギガホとギガホは500円の違いがあったが、それぞれの値下げによって、その差が100円に縮まった格好だ。ドコモの常務執行役員 営業本部長の鳥塚滋人氏は「できれば5Gに移っていただきたいということで、あまり価格差をつけず、選びやすくした」と狙いを説明する。4G用の「ギガホ プレミア」も容量は60GBに増加したが、100円差であれば、容量無制限の5Gギガホ プレミアを選らぶユーザーも増えそうだ。

ドコモ 4G用のギガホも、600円の値下げと同時に、データ容量は30GBから60GBに増量される

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他社より2000円程度安い料金水準、容量無制限も武器に

 データ容量が無制限の料金プラン同士で比較すると、5Gギガホ プレミアの6650円は、他社と比べて大幅に安いことが分かる。KDDIがauブランドで提供する「データMAX 5G」は正価が8650円で、ドコモより2000円高い。データMAX 5Gは、「家族割プラス」の割引額が4回線目で2020円と大きくなるが、期間限定の割引を除いた最低利用料は5460円で、ドコモより約1000円高い。データMAX 5Gは、容量無制限だが、テザリングには30GBという制限もあり、5Gギガホ プレミアのメリットが際立っている印象だ。

ドコモ auの料金は期間限定割引で3480円まで下がるが、正価は8650円で、5Gギガホ プレミアより2000円高い

 田村氏は、「基地局、コアネットワーク、サーバの話があるが、トータルで見ても影響は少ないということで、戦略的に(無制限に)対応した。テザリングも、今回の料金プランで対応できる」(田村氏)と自信をのぞかせた。ドコモは、5Gギガホ導入時に、終了期間未定のキャンペーンとして容量無制限を打ち出していたが、正式プランになったことで、いつ終わるか分からない不安感は払拭(ふっしょく)された。テザリングまで含めての無制限は、インパクトが大きいといえる。

 ソフトバンクには、そもそも容量無制限の料金プランが存在しないが、最も近い月50GBの「メリハリプラン」が8480円で、旧5GギガホやデータMAX 5Gに近い水準だ。5Gギガホ プレミアは、メリハリプランと比べても1830円安い上に、データ通信も無制限に利用できる。メリハリプランには、動画やSNSなど、特定サービスの通信を通信量のカウントから除外するゼロレーティングが導入されているものの、容量無制限の前では魅力が乏しく見える。割引後の価格もドコモより1000円高い。

ドコモ ソフトバンクのメリハリプランは、「データプランメリハリ」が6500円だが、基本プランと5G基本料が1980円かかる。5Gギガホ プレミアより1830円高い

 KDDIやソフトバンクには、期間限定の割引もあり、6カ月間から1年はドコモより安いか、同水準で利用できるが、こうした形の割引は、料金の正価が分かりづらくなり、分かりにくさにもつながる。鳥塚氏は「他社は期間限定の割引が非常に強く、最安値で比較されてしまうとプレミアプランより安く見えるかもしれないが、6カ月後、1年後に高くなるのはどうかということで、それはやめた。正価できちんと比較していきたい」と強調。期間によって価格が変わってしまう複雑さを排除したという。

ドコモ 料金プランを難解にする一因になっていた期間限定割引は撤廃した。画像は、ソフトバンクのメリハリプラン

 みんなドコモ割やドコモ光セット割などは残るため、ワンプランを打ち出したahamoとは異なり、いくら支払うのかは計算が必要になるが、複雑さを最小限に抑えようとした努力は垣間見える。ドコモの場合、「みんなドコモ割が適用されている人は2回線以上で8割超、3回線以上で7割超と多くの方にご利用いただいている」(同)状況のため、1000円の割引も適用されやすい。家族でお得に利用できるというコンセプトの下では、分かりやすい料金プランといえる。

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大容量や3Gからの移行が課題だったドコモ、他社も対抗する可能性大

 ドコモが5Gギガホ プレミアやはじめてスマホプランを導入した背景には、2つの課題がある。田村氏は、「大容量プランの獲得と、3G利用者のマイグレーション(移行)が喫緊の課題」(田村氏)と語る。他社と比べ、ドコモは大容量プランのユーザーの比率が低く、結果として1ユーザーあたりの平均トラフィックは、大手3社で最も少ない。総務省が12月に公開した調査資料によると、1契約者あたりの総トラフィックは3.7GBで、7.1GBのKDDIや13.7GBのソフトバンクに大きく差をつけられている。

ドコモ 総務省の「携帯電話及び全国BWAに係る電波の利用状況調査の評価結果の概要」を見ると、ドコモの平均トラフィックは他社に大きく水を開けられていることが分かる

 鳥塚氏によると、新料金プランでギガホを前者を選ぶユーザーは、3割弱にすぎないという。5Gギガホでは、比率が上がり4割程度になるというが、料金プランの改定によって「この比率がさらに上がってくることを期待している」(同)という。値下げにはなるが、「競争力のある料金体系で、ポートイン(流入)の強化やポートアウト(流出)の抑止がある」(田村氏)ため、減収幅もある程度抑えられると見ているようだ。

 もう1つの課題は、フィーチャーフォンユーザーの移行だ。ドコモは、3GサービスのFOMAとiモードを、2026年3月に終了する。KDDIは2022年3月、ソフトバンクは2024年1月にサービスを停止する予定だ。とはいえ、現時点でも「iモードは500万契約、iモード契約のない方を含めるとそれより多い」(鳥塚氏)ユーザーが、3Gのままだ。こうしたユーザーを巡り、「他社との間でスマートフォンに変えていただく競争が激化している」(同)。

ドコモ フィーチャーフォンから移行するユーザーがドコモを選ぶよう、はじめてスマホプランを導入する

 こうしたユーザーに対し、ドコモははじめてスマホプランを導入。キャンペーンではなく、正式プランの1つとして展開する。料金は1650円。3Gケータイからの移行が契約の条件になるが、1650円で4G、5Gのどちらも利用できる。データ容量は1GBと少ないが、5分間の音声通話定額がつくため、フィーチャーフォンと同水準の料金で使いたい人には、うれしい料金プランといえそうだ。正価としては、同じく料金プランの形を取るソフトバンクの「スマホデビュープラン」の2480円より安い。

 ahamoに続き、矢継ぎ早に新料金を打ち出したドコモだが、競争上、他社も対抗値下げをせざるをえなくなるだろう。実際、KDDIは「他社の戦略についてお答えできる立場にない」としつつも、「新たな競争力のある料金プランに加え、auの料金水準の見直しなどを発表する予定」(広報部)とコメント。auブランドで提供する、無制限プランの料金を見直す構えだ。ソフトバンクは静観しているものの、KDDIが対抗すれば、対応を余儀なくされそうだ。料金水準の見直しはもちろんだが、ドコモが打ち出したようなシンプル化にも期待したい。

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2020-12-18 21:00:00Z
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