飛行機が飛ばなければ、パイロットやCA(客室乗務員)といった「憧れのお仕事」は輝きを失う。コロナ禍は彼ら、彼女らをどん底に突き落とした。特集『航空・鉄道 最終シナリオ』(全18回)の#2では、リアルな「スチュワーデス“困窮”物語」「パイロット受難話」を現役社員の言葉でつづる。(ダイヤモンド編集部 土本匡孝) 【この記事の画像を見る】 ● 「実家からの仕送りがないともう無理!」 スチュワーデス“困窮”物語 「11月の手取りは昨年と比べて約半分になった」。ANAの40代CA(客室乗務員)の言葉は悲愴感が漂うものだった。 新型コロナウイルス感染拡大前は、毎月のシフトが国際線3往復、国内線8往復ほどあった。コロナ感染拡大後、国際線はほぼゼロになり、国内線は4往復ほど。代わって増えたのが急な欠勤者が出た場合などに備えるスタンバイの日だ。コロナ前は自宅と出社を合わせて6日ほどだったのが、コロナ後は倍増した。 CAの給与体系は簡単に言うと「基本給+役職給+乗務手当(出来高制)など」。乗務の機会が減ると、乗務手当や出張手当が減る。このため、冒頭のCAのように手取り半減という状況に陥るのだ。 日本航空(JAL)の若手CAからも、「実家からの仕送りがないと生活が成り立たない」「困窮して一人暮らしが続けられないので実家に戻った」といった悲鳴が上がる。 そんな中、ANAとJALが進める「グループ外出向や業務受託」は、若手CAを中心に収入安定につながる魅力的なものだった。関係者によると、中には基本給とは別に、多忙な月のCA乗務手当(80~90時間)相当額が得られる仕事もある。 ある出向先は、月に12万円も上乗せされる。
● KDDIは「基本給+最高12万円」 厚労省支援業務は「基本給のみ」だった ダイヤモンド編集部が取材で把握した限り、JALのCAで基本給に「+α」される支給が最も手厚いのはKDDI。その額12万円(職務等級が高いCA)である。ただし、KDDI内では企画系など中枢の部門に配置されたりするので、高い能力が求められる。 一方で最も安いのは「基本給のみ」という、既に業務受託が終わった厚生労働省支援業務やテレコメディア(電話対応業務)。そのテレコメディアも1月から出向期間の単位が1日から約1カ月に変わり、「+α」として月6万5000円が付くようになったようだ。 ANAやJALのCAや地上スタッフらが出向や業務受託として携わる先(終了、予定、検討中のものを含む)の判明分が以下の表だ。 ANA関係者によると、このほかにANAは社内で兼業の募集もしている。勤務先は保育園、関東地方の市役所、病院、関西の温泉旅館、子育て支援・看護・介護系会社、子供向けテーマパークなど。ANAの30代CAは「1月中旬に働き方の希望締め切りがあり、最後までみんな熟考しそう」と言う。 一部のCAはテレワーク増大による疲弊やストレスもあり、前出のグループ外出向や業務受託に注目している。うまくハマれば経験値が増え、上司の覚えもめでたくなり、収入も安定する「一石三鳥」というわけだ。 もっとも「三鳥」の中でも、差し迫って重要なのはやはり収入の安定。ANA、JALの主要職種の中で、コロナ禍で最も収入(割合)が下がったのはCAといわれている。
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2021-01-03 21:01:21Z
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