Jumat, 18 Juni 2021

日銀総裁「事業再開の環境整える」 資金繰り支援を延長 - 日本経済新聞

日銀は18日の金融政策決定会合で、新型コロナウイルス対応の資金繰り支援策の期限を2022年3月末まで半年間延長すると決めた。コロナ禍が長期化し企業の資金繰りの厳しさが続くとみて、支援を続ける。金融機関の気候変動対応の投融資を後押しする新たな資金供給策の導入も決めた。

9月末までだった資金繰り支援策の期限を22年3月まで延ばすことを賛成多数で決めた。黒田東彦総裁は同日の記者会見で、「今後(新型コロナウイルス禍が)収束するなかで、速やかに事業を再開していく環境を整える」と述べ、ワクチン接種の進展に伴い、経済が正常化に向かうなかでの前向きな資金需要にも対応できるよう支援策の延長を決めたと説明した。

政府は5月、政府系金融機関による実質無利子・無担保融資の申込期限を年末まで半年間延長した。日銀もこれと足並みをそろえ、企業の資金繰りを支えることで倒産や失業者の増加を抑える考えだ。

世界的な課題になっている気候変動問題に対応するため、新たな資金供給策を導入することも決めた。金融機関が気候変動関連の投融資をする際の原資となる資金を日銀が有利な条件で供給する仕組みを想定する。次回の7月の決定会合で新制度の骨子を固め、公表する。年内をめどに運用を始める予定だ。

先進国の中銀はこれまで、自然災害の増加などで銀行の融資先の財務が劣化すれば銀行経営も揺らぎかねない、という金融システム安定の観点から気候変動リスクをとらえてきた。半面、経済全体に広く影響を及ぼす金融政策での対応には慎重だったが、主要国政府が競って温暖化ガスの排出削減目標を表明するなか、こうした姿勢を転換。金融政策で後押しすべきだの姿勢に傾いている。

黒田総裁は日本政府が2050年までに温暖化ガス温暖の排出量を実質ゼロ(カーボンニュートラル)にする目標を掲げたことに触れて「中長期的に気候変動は経済・物価情勢に極めて大きな影響を与える」と指摘。気候変動への対応は長い目でみて、物価の安定という中央銀行の使命に資するとの考えを強調した。あわせて、金融政策以外の分野でも日銀全体の気候変動への対応方針を近くまとめる考えも示した。

現状の景気判断については、4月の決定会合で示した「コロナの影響で引き続き厳しい状態にあるが、基調としては持ち直している」との表現を踏襲した。世界経済の回復を追い風に輸出や生産は「着実な増加を続けている」とした。一方、東京都などを対象にした緊急事態宣言が長引いたことは内需に逆風になる。個人消費については、飲食・宿泊などのサービス消費における下押し圧力が強く「足踏み状態となっている」と判断した。

先行きの景気が持ち直していくシナリオは維持した。海外の景気回復を背景に「外需の増加や緩和的な金融環境、政府の経済対策の効果にも支えられて回復していく」とした。

海外の中央銀行は経済の回復や物価の急上昇を受け、コロナ対応で強化した金融緩和策の見直しを探っている。米連邦準備理事会(FRB)は16日の米連邦公開市場委員会(FOMC)で、これまで24年以降としてきたゼロ金利政策の解除時期の見通しを23年に前倒しした。カナダ銀行(中銀)は4月に国債購入の減額を決め、緩和の縮小に舵を切りつつある。

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2021-06-18 05:21:07Z
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