日産自動車は13日、今期(2020年3月期)の営業利益見通しを850億円に従来の1500億円から下方修正した。全体需要の鈍化が続くことなどを想定したためで最も低い市場予想を下回った。10-12月期の純損益が赤字に転落するなど業績不振が一段と顕著になっており、期末の配当を無配とし年間配当は1株あたり10円と前期比47円の減配になるとの見通しも示した。
日産の発表資料によると、事業改革や収益力のリカバリーを着実に進めているものの業績の低迷が続くことを想定しているとした。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う影響は含まれていないという。カルロス・ゴーン前会長の逮捕以降、日産は前会長の拡大路線からの脱却を目指してきたが、1年以上たった今も業績回復のめどが立たない状況だ。
今期業績見通しを修正 |
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10-12月期実績 |
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今期の世界販売台数見通しを505万台と従来の524万台から一段と下方修正した。主力市場の北米の販売台数は10-12月期に17%減となった。米国などで販売奨励金の削減を目指してきたが、そのために販売台数減につながるジレンマに陥っている。消費増税の影響を受ける日本市場でも20%減と大幅に落ちこんだ。通期の為替見通しは1ドル=108円(従来107円)に修正、ユーロは従来見通しの120円を据え置いた。
内田CEOは横浜市内での会見で、足元の販売減は「想定を超えて」いるとし、通期の業績見通しの引き下げは販売台数が想定を下回ったのが一番の要因と述べた。販売奨励金の抑制など日産のブランド価値を高める取り組みは一部で効果が出始めているものの、北米の収益回復には想定以上の時間がかかるとの見通しを明らかにした。
アシュワニ・グプタ最高執行責任者(COO)は次の2年間で北米市場に8車種の新車を投入することで平均車齢を5.2年から3.5年に短縮できるとし、反転攻勢する考えを示した。
日産では昨年12月、報酬不正問題を受けて内田誠社長兼最高経営責任者(CEO)をトップとする新経営体制が発足したが、1カ月もたたずに副最高執行責任者(COO)に指名されたナンバー3の関潤氏が日産を去って日本電産に移籍することが判明した。年末には保釈中だったゴーン被告がレバノンに逃亡して日産幹部の批判を展開。新型コロナウイルスの感染拡大で中国の工場の操業が止まるなど経営環境の混乱も続いている。
ブルームバーグ・インテリジェンスの吉田達生シニアアナリストは、中国の新型肺炎も英国のEU離脱も「日本の自動車メーカーで一番影響度が大きいのが日産」で、「踏んだり蹴ったり」の状況という。業績改善には特効薬はなく、米国では販売奨励金の削減と台数確保の両立を目指すなど地道な取り組みを続けるしかないと述べた。
(内田CEOの会見での発言などを追加して更新します)
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2020-02-13 08:11:00Z
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