日本郵政グループが14日に発表した令和元年4~12月期決算で、かんぽ生命保険の新規契約件数は前年同期比52・1%減の63万件となった。不正販売に伴う販売自粛が響いた。不利益を受けた可能性がある顧客が6万人増えるなど、問題が収束するめどは立たず、販売再開の時期も見通せない。不正販売問題が郵政グループの中期的な収益の重しになっている。
「販売自粛後の新規契約数はそれ以前の1割の水準だ」。14日の決算記者会見でかんぽの財務担当者は打撃の大きさを明かした。
保険販売を受託する郵便局などでは不正問題発覚後、顧客対応に注力するため、元年7月中旬から販売を自粛している。今年1月から3カ月間は業務停止処分を受けており、新契約はほぼ見込めなくなりそうだ。
これに対し、かんぽの元年4~12月期の最終利益は19・0%増の1150億円で、通期決算も増益を見込む。販売自粛に伴うコスト減が短期的に収益を押し上げるからだ。保険は新規以外に保有する契約からも保険料を得るビジネスで、新契約の減少が即座に業績を下押ししない特徴がある。
だが、日本郵政の浅井智範執行役は14日の会見で、新契約が減り続ければ「結局、保有契約自体が減っていき、中長期的には徐々に収益に効いてくる」と危機意識を強めた。
今後の焦点は販売が落ち込んだままの状況がどこまで続くかだ。保険販売の業務停止処分が解ける4月や追加の調査が完了する後の7月が販売再開に向けた一つの節目となりそうだ。もっとも、日本郵政の増田寛也社長は「申し上げる段階にない」とかたくなに言及を避ける。
背景には、前経営トップが再開時期を明言し、社内外から批判を浴びて撤回を繰り返したことへの教訓がある。実態解明や再発防止策の徹底がなされないままでは、顧客や従業員の不安は解消されず、再開には見切り発車との批判が付きまとう。増田氏も「改善計画がどう実行されるかを見ないと判断できない」と慎重な姿勢を貫く。
とはいえ、郵政グループの収益はかんぽとゆうちょ銀行の金融2社頼み。このまま保険の保有契約が漸減すれば中期的に業績が停滞し、経営が立ち行かなくなるため「早期に販売を再開したい」とグループ幹部は本音をにじませる。
だが、現実的には再開した場合も販売職員には徹底したコンプライアンスが求められ、販売実績を以前のようにつくるのは難しくなる可能性がある。不正問題によって金融2社がグループを支える収益構造にも限界が見えつつあり、新たな経営戦略やビジョンの策定が迫られそうだ。(万福博之)
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2020-02-14 10:16:02Z
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