【ニューヨーク=斉藤雄太】22日の米株式市場でダウ工業株30種平均は前日比73ドル94セント高の3万5677ドル02セントで取引を終え、8月16日以来2カ月ぶりに過去最高値を更新した。米企業の2021年7~9月期決算が好調で、米景気の回復期待の高まりが投資マネー流入につながっている。ただインフレの長期化や金融緩和路線の転換が景気の重荷になる可能性もあり、米株相場の先行きには波乱要素も多い。
先週から本格化している米企業の決算発表を受け、好業績だった企業の株が買われる流れが続いている。22日発表の7~9月期決算で1株利益が市場予想を大きく上回ったクレジットカードのアメリカン・エキスプレスは株価上昇率が5%を超えた。既に好決算を発表しているゴールドマン・サックスやJPモルガン・チェースなど金融大手の株価上昇も目立った。コモンウェルス・ファイナンシャル・ネットワークのアヌ・ギャガー氏は「企業収益の改善が相場全体を押し上げ、投資家の強気姿勢を後押ししている」と指摘する。
10~12月期の収益見通しの振るわなかったインテルなどハイテク株の一角は売られ、ナスダック総合株価指数は下落した。
米国では夏場に急増した新型コロナウイルスの感染者数が9月半ば以降に減少傾向に転じ、経済活動の再開も広がりつつある。雇用情勢の改善で週間の新規失業保険の申請件数はコロナの感染拡大後で最低水準まで減り、9月の小売売上高は前月比0.7%増と予想に反して伸びた。英IHSマークイットが22日に発表した10月の米購買担当者景気指数(PMI、速報値)は総合指数が5カ月ぶりに前月を上回り、サービス業を中心に企業の景況感も上向いてきた。
債務不安を抱える中国の不動産大手、中国恒大集団がドル建て債の利払いを実施したと伝わり、債務不履行(デフォルト)の懸念がいったん和らいだことも投資家心理の改善につながった。株価の予想変動率を示す米VIX指数は先週後半から心理的な節目とされる20を下回って推移する。
もっとも、米経済の先行きには不安材料も多い。消費者物価指数(CPI)の前年同月比の上昇率は9月まで5カ月連続で5%を超え、インフレが一時的にとどまらないリスクが高まっている。米原油先物市場でWTI(ウエスト・テキサス・インターミディエート)は1バレル80ドル台と7年ぶりの高値圏で推移し、ガソリン高が家計の消費意欲をそぐ恐れがある。
米連邦準備理事会(FRB)は11月の米連邦公開市場委員会(FOMC)で量的緩和の縮小(テーパリング)を決定し、22年半ばまでに完了する構えだ。株式相場の押し上げ役になってきた潤沢なマネーの供給は一服する時期が近づきつつある。
FRBのウォラー理事は19日の講演で、インフレ圧力が続く場合には「22年はテーパリングにとどまらず、より積極的な政策対応が必要になるだろう」と指摘。早期の利上げに踏み切る可能性を示した。金利上昇は景気回復に一定の重荷になり、高PER(株価収益率)のハイテク株に逆風となりやすい。
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2021-10-22 22:16:04Z
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