13日の米株式相場は続伸。主要株価指数はいずれも約1カ月ぶりの高値で引けた。インフレ期待の低下が追い風になった。大手銀行が決算発表で懸念されるような見通しを示したため、銀行株はいったん売られたが、持ち直した。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 3999.09 | 15.92 | 0.4% |
ダウ工業株30種平均 | 34302.61 | 112.64 | 0.3% |
ナスダック総合指数 | 11079.16 | 78.06 | 0.7% |
S&P500種株価指数は200日移動平均線を上回り、4000に接近して終了した。2022年10-12月(第4四半期)決算を発表したJPモルガン・チェースとバンク・オブ・アメリカ(BofA)、シティグループ、ウェルズ・ファーゴはいずれも値上がりした。大型ハイテク銘柄中心のナスダック100指数は6営業日続伸。これは21年11月以来最長の連騰で、同月には最高値を付けていた。16日はキング牧師生誕記念日の祝日で休場。
JPモルガン、2023年の純金利収入見通しが市場予想下回る
CIBCプライベート・ウェルスUSのデービッド・ドナベディアン最高投資責任者(CIO)は「一進一退の展開だ」と指摘。「状況は今後さらに悪化するという極端に悲観的な見解にはあまり賛同しない。一方で、新たな強気相場が既に始まったという別の極端な見方にも同意しない。そういう状況にもまだ至っていないと思う」と述べた。
米国では短期的なインフレ期待が1月に入って低下し、ほぼ2年ぶりの水準となった。消費者のセンチメントを予想以上に押し上げたことがミシガン大学の消費者マインド調査で明らかになった。
1年先の米インフレ期待、約2年ぶり水準に低下-ミシガン大調査 (2)
LPLフィナンシャルのチーフエコノミスト、ジェフリー・ローチ氏は物価圧力が多くのセクターで鈍化しつつあり、米利上げペースが次回会合で0.25ポイントに減速する道が開かれつつあると指摘。「米金融当局が近い将来に利上げ停止について議論し始めても、驚くべきではないだろう」と付け加えた。
アトランタ連銀のボスティック総裁は前日発表された昨年12月の米消費者物価指数(CPI)統計を受けて、次回連邦公開市場委員会(FOMC)ではこれまでより小幅の利上げを支持する方向に傾いていると述べた。
アトランタ連銀総裁、25bp利上げに「違和感ないだろう」-CPI受け
米国債
米国債相場は下落。取引終盤に短期債中心に下げ幅を拡大した。ただし、週間ベースでは上昇した。
国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 3.61% | 3.1 | 0.9% |
米10年債利回り | 3.49% | 5.25 | 1.5% |
米2年債利回り | 4.23% | 8.11 | 2.0% |
米東部時間 | 16時55分 |
外為
外国為替市場では円が主要10通貨に対して全面高。日本銀行がまたもタカ派的な政策行動に出るとの観測が背景にある。ドルは下落。米金融当局が引き締めサイクルの終了に向かいつつあるとの兆しがある中、市場は前日の米CPIを引き続き売り材料視した。
円は対ドルでは1%余り上昇の1ドル=127円台後半。一時は1.4%高の127円46銭を付ける場面もあった。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1224.26 | -2.34 | -0.2% |
ドル/円 | ¥127.86 | -¥1.39 | -1.1% |
ユーロ/ドル | $1.0833 | -$0.20 | -0.2% |
米東部時間 | 16時55分 |
オーストラリア・コモンウェルス銀行(CBA)の国際経済責任者、ジョセフ・カパーソ氏は「市場参加者は12日の読売新聞の報道について、日銀が金融引き締めを前倒しすると解釈した」と分析。「日銀が来週の政策会合で超緩和政策を維持し、近い将来の引き締め検討を示唆しなければ、市場参加者は失望する可能性がある」と述べた。
アタナシオス・バンバキディス氏らバンク・オブ・アメリカ(BofA)のストラテジストは「投資家はドルのショートポジションがたまっていることを懸念し始めているが、現時点では一段の下落を見込んでいる」と顧客向けリポートで指摘。「インフレは低下しにくいとの当社の懸念に顧客は同意しているが、そのタイミングがはっきりしないため、今は市場と闘いたくはないと考えている」と記した。
原油
ニューヨーク原油先物相場は7営業日続伸。週間ベースでは3カ月ぶりの大幅上昇となり、前週に見られた急落分の大半を回復した。中国の景気回復に対する楽観が強まっている。
中国では当局による輸入割り当ての後、原油購入が増えているほか、厳格な新型コロナウイルス対策をやめたことで今年の原油消費が過去最高を記録すると予想されている。
SEBのチーフ商品アナリスト、ビャーネ・シールドロップ氏は、中国のコロナ対策や世界的な景気後退懸念など2022年下期に原油安を招いた要因が今や反転していると説明。「中国がアジアや世界と再びつながれば、需要は大幅に拡大する」と述べた。
ニューヨーク商品取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物2月限は1.47ドル(1.9%)高の1バレル=79.86ドル。週間ベースでは8%余り上昇し、昨年10月以来の大幅高となった。ロンドンICEの北海ブレント3月限は前日比1.25ドル(1.5%)高の85.28ドルで引けた。
金
ニューヨーク金相場は続伸。スポットと先物の価格はいずれも約8カ月ぶりの高値を付けた。
スポット価格は週間ベースでは4週連続の上昇。前日に発表された米消費者物価指数(CPI)を受け、金融当局は利上げペースを落とすとの見方が広がったことが背景。
米金融当局者の間には、インフレ抑制のため政策金利を大幅に引き上げる必要がなおあるとの見方も存在する。
UBSグループのアナリスト、ジョバンニ・シュトーノボ氏は「利上げが追加で実施されインフレが鈍化することにより、金市場からは資金が再び流出する」と予想。「ただ現在は、中央銀行の強い需要でそれが相殺されている」と述べた。
金スポット価格はニューヨーク時間午後3時32分現在、1.2%高の1オンス=1920.15ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は22.90ドル(1.2%)高の1921.70ドルで引けた。
原題:S&P 500 Within a Whisker of 4,000 in Stock Rebound: Markets Wrap(抜粋)
Treasuries End Lower After Late-Day Slide Led by Short End(抜粋)
Yen Gains; Dollar Slips on Fed Hint at Smaller Hike: Inside G-10(抜粋)
Oil Posts Biggest Weekly Advance Since October on China Optimism(抜粋)
Gold Heads for Fourth Weekly Gain After US Inflation Cools(抜粋)
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2023-01-13 21:56:00Z
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