20日の米株式相場は反発。テクノロジー銘柄の上昇でリスクセンチメントが改善したほか、米金融当局者の発言を受けて過度に積極的な政策への懸念が後退した。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 3972.61 | 73.76 | 1.9% |
ダウ工業株30種平均 | 33375.49 | 330.93 | 1.0% |
ナスダック総合指数 | 11140.43 | 288.16 | 2.7% |
S&P500種株価指数は4営業日ぶりに上昇。業種別指数では11業種全てが上げた。週間ではS&P500種はなおマイナスだが、テクノロジー銘柄の上昇でナスダック100指数はプラスとなった。個別銘柄ではグーグルの親会社アルファベットが高い。同社は約1万2000人を削減する計画を発表した。ネットフリックスは大幅高。昨年10ー12月(第4四半期)の会員数の増加幅が市場予想を上回ったことを前日に明らかにした。
グーグル親会社アルファベットが1.2万人削減へ、全従業員の6% (1)
ネットフリックス、ヘイスティングス氏がCEO退任-会員数増加 (2)
米連邦準備制度理事会(FRB)のウォラー理事はこの日、金融政策は十分に景気抑制的な領域にかなり近いと発言。この発言後、S&P500種はこの日の高値に上げた。フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は、より漸進的な利上げを実施するべきだとの考えを示した。またカンザスシティー連銀のジョージ総裁は、米経済は深刻な低迷を回避し得るとの見解を示した。
この日は米国債利回りが上昇する中での株価上昇となった。BTIGのチーフマーケットテクニシャン、ジョナサン・クリンスキー氏は「きょう、利回りが上昇しているにもかかわらずナスダック指数がアウトパフォームしているのは注目すべきだ」と指摘。「これは短期的にポジティブと捉えられる可能性がある一方、金利低下と株価下落が同時に起こるような『悪いニュースは悪い』という状況にシフトした場合は、逆の動きを目にしてもおかしくない」と述べた。
決算への注目も続いている。S&P500種の構成企業でこれまでに決算を発表した55社を見ると、アナリスト予想を上回ったのは約3分の2にとどまる。過去数四半期においては、80%が市場予想を上回っていた。
シティー・インデックスのシニア金融市場アナリスト、フィオナ・シンコッタ氏は「一部企業が予想を上回る決算を発表したことで楽観するような雰囲気もあるが、リセッション(景気後退)懸念がそれを打ち消してしまったように見受けられる」と分析。「企業業績は恐らく軟化すると市場は認識しているが、そうした見方の多くは織り込まれつつある」とも指摘した。
米国債
米国債相場は下落。欧州市場での取引終了にかけてドイツ国債が下げたことなどが影響した。
国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 3.65% | 8.68 | 2.4% |
米10年債利回り | 3.48% | 8.91 | 2.6% |
米2年債利回り | 4.17% | 4.81 | 1.2% |
米東部時間 | 16時50分 |
外為
ニューヨーク外国為替市場では、ドルが一時の上げを消す展開。複数の米金融当局者が利上げペース減速の見通しを改めて示したことが背景にある。円は主要10通貨の大半に対して値下がり。日本銀行の黒田東彦総裁が、高インフレをよそに金融緩和を継続する決意を示唆したことが手掛かり。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
ブルームバーグ・ドル指数 | 1224.88 | -0.93 | -0.1% |
ドル/円 | ¥129.57 | ¥1.14 | 0.9% |
ユーロ/ドル | $1.0858 | $0.25 | 0.2% |
米東部時間 | 16時22分 |
クレディ・アグリコルのストラテジストらはリポートで、「米金融引き締めペースの減速や中国の経済活動再開、欧州の見通し改善、さらに米国以外の主要中央銀行による引き締め継続は、今後3-9カ月にドルがわれわれの従来予想よりも顕著に下落する正当な理由となる」と記した。同社は現在、ドルが年末までに1ドル=122円に下落すると予想。従来は132円を見込んでいた。
原油
ニューヨーク原油先物相場は続伸し、昨年11月半ば以来の高値となった。中国の需要増加を巡る楽観を背景に、週間ベースでは2週連続の上昇。
今週は中国の記録的な消費に関する予測や、春節(旧正月)を控えた同国の原油輸入増加などに支えられた。一方で、米追加利上げの見通しで株式や原油といったリスクの高い資産が一部で敬遠され、週間の上げ幅は限定された。
ニューヨーク商品取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物2月限は前日比98セント(1.2%)高の1バレル=81.31ドル。週間では1.8%上昇。2月限はこの日が最終取引だった。3月限は1.03ドル高の81.64ドル。ロンドンICEの北海ブレント3月限は1.47ドル(1.7%)高の87.63ドルで引けた。
金
ニューヨーク金先物相場は続伸。スポット相場は約9カ月ぶり高値付近で推移した。低調な企業決算や人員削減の動きを背景に、リセッション(景気後退)懸念が高まった。
ストーンXのアナリスト、ロナ・オコネル氏は「金は買われ過ぎで、調整の必要がある」とリポートで指摘。「2000ドルの大台に乗せるのは比較的遠い将来のことだ。近い将来に達成されるにしても、『一瞬で終わってしまう』ケースになるのはほぼ確実だろう」と述べた。
金スポット価格はニューヨーク時間午後2時41分現在、0.1%安の1オンス=1930.58ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は、4.30ドル(0.2%)高の1928.20ドルで引けた。
原題:Stocks Bounce Thanks to Tech Rally, Fed Comments: Markets Wrap(抜粋)
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2023-01-20 22:07:00Z
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