2020年04月21日13時30分
【モスクワ時事】20日のニューヨーク商業取引所(NYMEX)の原油先物相場が史上初のマイナス価格での取引になったことは、資源頼みの経済運営を行ってきたロシアにとって大きな打撃となりそうだ。国内では新型コロナウイルスの感染も拡大して経済の先行き不透明感が増しており、プーチン政権にとってはダブルパンチに見舞われた格好になった。
ロシアは国家予算の35%程度を石油・天然ガス関連の歳入に依存。2020年予算は1バレル=42.4ドルを前提に組まれている。石油輸出国機構(OPEC)加盟国とロシアなど非加盟国で構成する「OPECプラス」の会合は3月に協調減産をめぐり決裂し、原油価格が急落。その際もロシアは「1バレル=25~30ドルの水準でも6~10年はこれまで積み立てた基金で賄える」(財務省)と強気の姿勢を崩さなかった。しかし、今回の「マイナス価格」はさすがに想定外と言えそうだ。
欧米の制裁などで経済が停滞するロシアは今年、プーチン大統領が経済回復のカギと位置付ける大型国家事業を進める計画だった。しかし、油価暴落でこうした計画の遂行も困難になりそうだ。プーチン氏の求心力低下にもつながりかねない状況だ。
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