動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」は、トランプ米大統領が再選を目指して6月にオクラホマ州タルサで開いた集会のチケットをユーザーが多数入手しながら欠席し、空席を目立たせる悪ふざけをした時から既に米当局の厳しい視線が向けられていた。
ティックトックを国家安全保障上の脅威とみなし、中国政府に一段と厳しい対応を望むトランプ政権の対中強硬派にとって、この事態は行動に起こす完璧なタイミングだった。新型コロナウイルス感染拡大と、空席だらけの選挙集会に憤慨していたトランプ大統領は強硬派の意向に応じた。
トランプ氏は7月、ティックトックと中国政府の新型コロナ対応を関連付け、中国が同社の経営権とアルゴリズム、データを米国に引き渡さない限り、米国内で1億人が利用する同アプリを禁止することも辞さないと表明。この取引による米政府への支払いも主張し、同氏がニューヨークで不動産業に従事していた時代を想起させる要求を打ち出した。
しかし、これらの要求はトランプ氏が9月20日の期限まで数時間のタイミングで行った原則承認ではほとんど満たされていない。
トランプ氏は米企業によるティックトック米事業の所有を求めていたものの、提携で誕生する新会社の80%の株式を中国のバイトダンス(北京字節跳動科技)が引き続き握る。新会社にはオラクルとウォルマートが将来の資金調達で出資する。
国家安全保障上の理由から、データを米国にとどめたい考えもトランプ氏は示していたが、ティックトックのアルゴリズム自体はバイトダンスに引き続き属するため、国家安全保障上の懸念は残ると専門家は話す。
さらに、政府への支払いについては、米財務省への50億ドルの新たな納税という曖昧な言葉で約束され、新会社は子供のオンライン学習向けの新たな「教育イニシアチブ」を創設すると発表した。これについてトランプ氏は「非常に大きな基金が設立されることになる」と述べ、「これこそ私が彼らに求めた貢献だ」と満足感を示した。
確かにトランプ氏は部分的には勝利した。新会社はテキサス州に本社を置き、米国で2万5000人を採用する。ただ、採用の内訳や時期は提示されていない。取締役会は米国人が率いるが、最も重要なのは米大統領選まで約6週間のタイミングで危機を収拾したことだろう。
トランプ氏は19日、「米国にとって素晴らしいディールだ」と述べ、「全く新しい会社となり、他国や中国と全く関係のない会社になる。完全に安全になる。それがディールに含まれている」と語った。
こうした発言を受け、政治的理由からティックトックをやり玉に挙げたという見方も浮上している。また、トランプ氏の主要な盟友の1人、オラクル創業者のラリー・エリソン氏が仲介したディールに大統領が直接関与し承認したことに政治的干渉といぶかる声も聞かれる。カーネギー・メロン大学のアリ・ライトマン教授(デジタルメディア・マーケティング学)は「政府は国家安全保障上の懸念に従事すべきだが、米企業の舞台裏の取引の仲介には関与すべきでない」と指摘した。
原題:
Trump Celebrates TikTok Deal That Falls Short of His Key Demands(抜粋)
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2020-09-21 04:48:00Z
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