一定の収入がある75歳以上の後期高齢者の医療費の窓口負担が1割から2割に引き上げられる。現役世代の負担軽減を狙うものだが、その効果は1人あたり年700円とわずかで、専門家からは、さらなる見直しを求める声が出ている。
後期高齢者の医療費は2021年度予算案ベースで約18兆円。その4割を国や自治体からの公費で、さらに4割を会社員らが加入する健康保険組合などが出す支援金で賄っている。
団塊の世代が後期高齢者になり始める22年以降、医療費は、さらなる増大が見込まれる。一方で、現役世代は人口が減るため、このままでは一人一人にかかる負担が重くなる。健康保険組合連合会は「もう限界」と訴える。国の試算では、現役世代1人あたりの支援金負担は、22年度に6万7300円となるが、今回の見直しを反映すれば、6万6600円になるという。
高齢者の窓口負担に関しては、01年に1割負担が導入されるなど、徐々に引き上げられてきたが、強い反発もあった。
医療保険財政に詳しい土居丈朗・慶応大教授は「今回の引き上げは現役世代に負担が偏る状態を改善する第一歩として意味がある。だが、これで終わりではなく、さらなる見直しが必要だ」と語り、2割負担の対象となる高齢者の範囲を拡大させる案などを示している。
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2021-06-04 20:00:00Z
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