みずほ銀行でシステム障害が相次いでいる問題で、みずほフィナンシャルグループ(FG)が基幹システムの開発などを担当する人員を全面稼働後に約6割削減していたことが31日、分かった。障害の多発や、原因究明の遅れの背景として、システムの保守管理に関わるノウハウが十分に引き継がれなかった可能性も指摘されており、信頼回復に向けた取り組みは時間を要しそうだ。
みずほの基幹システム「MINORI(みのり)」は令和元年7月に全面稼働した。これに伴う人事異動などによって、平成30年3月末時点で1143人だった担当者は今年3月末時点で491人となり、3年間で57%減った。6月の第三者委員会報告書では開発段階から関与していた担当者の減少に言及して「システム構造のブラックボックス化」が進んでいると指摘していた。
みのりはみずほ銀の前身である第一勧業、富士、日本興業の旧3行が利用していた富士通、日本IBM、日立製作所のシステムを存続させる形で統合し、他の大手行の基幹システムより複雑で取り扱いが難しいとされる。担当者の減少で現場に保守管理のノウハウが不足し、トラブルの原因究明も遅れた可能性がある。
一方、銀行システムに詳しい静岡大の遠藤正之教授(金融情報システム)は、「みずほは障害発生時に、システム全体をみる司令塔の役割を果たせていない可能性がある」と懸念を示す。今年発生した計6回のトラブルで、複数のエリアにまたがるシステム障害に円滑に対応できていないケースがあったからだ。
トラブルの再発防止には、複雑なシステムを見渡して迅速に対応できる体制づくりが欠かせない。一度崩れた組織の立て直しや人材育成には時間が必要で、みずほの信頼回復の道は混迷を極めている。
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2021-08-31 12:43:51Z
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