10月の全国消費者物価指数(生鮮食品を除くコアCPI)は前年比伸び率が4カ月ぶりに前の月を上回った。政府による物価高対策の縮小に伴いエネルギー価格の落ち込みが和らいだことが主因だが、市場予想を下回り、金融政策の正常化にはまだ時間がかかるとの指摘が出ている。
総務省の24日の発表によると、コアCPIは前年同月比2.9%上昇と、前月(2.8%上昇)から伸びが拡大した。市場予想は3.0%上昇だった。政府による電気・ガス価格激変緩和対策事業による補助金が半減し、電気代と都市ガス代の下落幅が縮小。宿泊料も大幅に上昇した。一方、生鮮食品を除く食料は上昇が続いたが、昨年急騰した反動などでプラス幅は2カ月連続で縮小した。
10月のコアCPIは政策要因を中心にプラス幅を拡大したが、当面はコストプッシュ圧力の減退に伴って伸び率は鈍化していくと日銀は予想している。日銀の早期の政策正常化への思惑がくすぶる中、賃上げを反映した物価の基調的な動きが先行き強まるかどうかが焦点となっている。今回の結果も踏まえて市場関係者の間では正常化は来春になるとの見方が出ており、日銀は慎重な判断を迫られる。
農林中金総合研究所の南武志主席研究員は、「宿泊料が去年の全国旅行支援の反動で上がっているのが大きいが、食料品の上昇が鈍ってきているのは確認できる」とし、一時的な要因を除けば、物価上昇は落ち着くという日銀のシナリオは変わらないと分析。一方、賃金がさらに伸びないと物価の好循環は起きないとし、「12月は現状維持。26年度の物価見通しが示される来年4月が政策変更するかどうかの大きな転換点になる」との見方を示した。
生鮮食品とエネルギーを除いたコアコアCPIは4.0%上昇と伸びが縮小。プラス幅の縮小は2カ月連続で、市場予想(4.1%上昇)を下回った。
住友生命保険の武藤弘明エコノミストは、「物価がある程度落ちてくるのは想定通り。物価が下がっているから日銀の正常化の障害になるのではなくて、食料が下がっているだけだ」と指摘。賃金は所定内給与などでプラス幅が拡大し、来年の春闘の伸びも悪くないとした上で、日銀のマイナス金利解除は「来年4月が恐らくメインシナリオ」と語った。
賃金動向が反映されるサービス価格は2.1%上昇と前月(2.0%上昇)から伸び拡大し、消費税率引き上げの影響を除いて1993年10月(2.4%上昇)以来、30年ぶりの高水準となった。総務省は、サービス価格の上昇について、宿泊や外食でのコスト上昇や人手不足などが価格改定につながっている事例があると説明した。
詳細(総務省の説明)
- 電気・ガス激変緩和対策事業の値引き単価は9月から半減。同事業がなければ総合の前年比上昇率は3.8%、コアは3.4%
- ガソリンの上昇率縮小は、ガソリン補助金が9月上旬から新制度に移行したことにより補助額が増額されたため
- 宿泊料は観光需要回復に伴う値上げに加え、昨年10月にスタートした全国旅行支援がほぼ終了し、反動でプラス幅が拡大した
- 生鮮食品除く食料はビールの税率引き下げの影響などが押し下げに寄与。ただ、前年比7.6%上昇と、これまでの原材料価格上昇の影響を反映して依然高水準
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2023-11-23 23:33:00Z
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