米議会で11日に証言したパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は、米経済に打撃を及ぼすことなく約40年ぶりの高インフレを沈静化させるという、困難な仕事を金融当局が成し遂げられるとして、議員や投資家の安心を誘った。
パウエル議長は2時間半に及んだ上院銀行委員会の指名承認公聴会で、金融当局が事実上のゼロ金利政策の解除と、8兆8000億ドル(約1014兆円)規模に膨らんだバランスシートの削減に着手する軌道にあることを確認した。
その上で、こうした措置は過熱した経済を冷ますことを狙った金融引き締め姿勢への転換ではなく、新型コロナウイルス禍に対応するために実施した超緩和的な緊急対策を巻き戻すものだと説明した。公聴会は険悪ムードとは無縁の形で行われた。
議長は「われわれは今年を通じ、一段と正常に近い政策に移行していくだけではあるが、現在の地点から正常への道のりは遠い」と述べるとともに、「労働市場にマイナスの影響をもたらすことは全くないだろう」と語った。
その根拠として、パンデミック(世界的大流行)に絡んだサプライチェーンの制約や労働力不足が緩和するのに伴い、米経済が現在直面しているインフレ圧力の多くの部分がやがて自然に和らぐと見込まれる点にも言及した。
TDセキュリティーズの米国担当チーフマクロストラテジスト、ジム・オサリバン氏はパウエル議長について、「供給サイドの回復を大いに頼りにしている」もので、インフレは一過性であると別の表現で語っているのも同然だと指摘した。議長自身は昨年終盤、インフレ圧力が予想よりも根強く、一層高いものであることが分かったとして、一過性の表現を撤回していた。
投資家は金融当局がインフレ抑制に取り組むとの11日の議長証言を好感。S&P500種株価指数は0.9%高と、6営業日ぶりに反発して終了した。
ただ、金融当局の政策に批判的なサマーズ元米財務長官らはパウエル議長の発言にほとんど安心することはなさそうだ。サマーズ氏らは当局がインフレのリスクについて過度に楽観的だとして、物価抑制には現時点で想定しているよりも強力な措置を講じる必要があると主張している。
パウエル議長(68)は公聴会で物価高について何度も質問を受けた一方、再任へのあからさまな反対にはほとんど直面することはなかった。議長にとって上院での指名承認獲得よりも、リセッション(景気後退)を招かずにインフレを抑制することの方が難しい課題となりそうだ。
議長自身も「われわれは謙虚であるとともに多少機敏でなければならない」と述べ、まだコロナ禍の続く経済情勢の変化に当局が対処するのに当たり、こうした困難をそれとなく認めた。
原題:
Powell Makes Case for Fed Curbing Inflation While Doing No Harm(抜粋)
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2022-01-12 03:53:15Z
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