アメリカが、前のトランプ政権のときから日本の鉄鋼とアルミニウムに高い関税を上乗せしている輸入制限措置をめぐり、アメリカ政府は鉄鋼について、一部を免除すると発表しました。ただ、アルミニウムは上乗せ関税が継続されることになります。
これはアメリカのバイデン政権が7日、日本時間の8日朝、発表しました。
それによりますと、アメリカは、日本の鉄鋼とアルミニウムに対する輸入制限措置のうち、鉄鋼について、ことし4月から一部を免除するということです。
具体的には、「関税割当」と呼ばれる制度を導入し、日本からの輸入のうち年間125万トンまでは関税を上乗せしないとしています。
アメリカは4年前、前のトランプ政権のときに中国からの輸入品を念頭に、安全保障上の脅威だとして、鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の高い関税を上乗せする輸入制限措置に踏み切りました。
日本からの製品も対象になっていたため、日本側は問題の早期解決を強く求めていました。
アメリカのレモンド商務長官は声明で、「今回の発表は、中国の不公正な貿易慣行に対抗するうえでの、世界の同盟国との関係の再構築につながる」としています。
ただ、アルミニウムについては今後も上乗せ関税が残ることになりました。
アメリカは、同じように輸入制限措置をかけたEU=ヨーロッパ連合に対しては先月から鉄鋼とアルミニウム双方の上乗せ関税を一部免除する対応をとっています。
日本政府としては引き続き、双方の上乗せ関税をすべてなくすよう交渉していく方針です。
アメリカの輸入制限措置の経緯
この措置は、アメリカの通商拡大法232条に基づくもので、輸入製品がアメリカの国家安全保障に脅威を与える場合、大統領は輸入調整などの措置を取ることができると書かれているのを根拠にしています。
トランプ政権は中国の過剰生産によって鉄鋼やアルミニウムが安値で輸入されていることが、アメリカの鉄鋼業に打撃を与え安全保障上の脅威になっているとして、
▽鉄鋼製品に25%、
▽アルミ製品には10%の高い関税を上乗せする輸入制限措置をとりました。
中国だけでなく、日本を含む世界各国が対象となりました。
その後、韓国やアルゼンチン、ブラジル、オーストラリアは、2国間の合意によって措置から除外され、3年前には、カナダとメキシコも除外されました。
一方、EU=ヨーロッパ連合は、アメリカからの一部の輸入品に総額28億ユーロ、日本円にしておよそ3600億円の報復関税を課し、アメリカとEUの貿易摩擦へと発展しました。
その後、アメリカとEUの間では協議が進み、バイデン政権は去年10月、EUに対して上乗せ関税を一部免除することで合意したと発表。
EU側も報復関税を撤廃し、貿易摩擦の解消に一定のめどがつきました。
日本の鉄鋼 措置発動前の6割近く減少
アメリカは、EUに対しては先月から鉄鋼とアルミニウム双方の上乗せ関税を一部免除する対応をとっていますが、日本は今も追加関税がかかったままの状況が続いています。
この輸入制限措置は、アメリカに輸入される日本の鉄鋼やアルミ製品のほとんどが対象となっています。
措置が発動されるまで、日本からの鉄鋼は無税、アルミニウムは製品によって異なりますが、0%から6.5%の関税でしたが、この措置によって鉄鋼は25%、アルミニウムは最大で16.5%の関税がかけられることになりました。
アメリカの輸入統計によりますと、おととしアメリカに輸入された日本の鉄鋼製品の量は72万トン、輸入額はおよそ1050億円でした。
これは措置が発動される前の2017年の173万トンと比べると6割近く減少しました。
措置の影響だけでなく、新型コロナウイルスの感染拡大による鉄鋼製品の需要低下も要因になったとみられています。
日本政府は、アメリカとの2国間の閣僚会談などで日本を対象から外すよう繰り返し要請してきました。
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2022-02-07 23:59:44Z
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