―遠くなった日経平均2万4000円台、復活はあるか―
週明け27日の東京株式市場では、日経平均株価が一時500円以上も下げる波乱展開となった。中国で発生した新型肺炎の感染拡大によりリスクオフの流れが改めて強まり、前週末の米株安に加え、円高方向に振れた為替市場も投資家心理を冷やした。気がつけば遠くなった2万4000円台。上昇トレンドに異変が生じるなか、ここから更に下値を試す可能性は? 当面の見通しについて、先読みに定評のある市場関係者に見解を聞いた。
●「目先波乱の展開も大勢上昇トレンド変わらず」
窪田朋一郎氏(松井証券 シニアマーケットアナリスト)
東京株式市場は、新型肺炎の感染拡大が大きくメディアで報じられるなか、足もとリスクオフ一色の展開を強いられている。中国では春節に伴う連休を2月2日まで延長(従来は1月30日まで)することが発表され、上海株市場の休場も延長される可能性が高いほか、既に香港市場では28日からの再開予定を29日に1日延長しているが、これも開始時期がはっきりしない状況となった。
こうした状況下、ヘッジ売りの対象が日本株市場に集中する格好となり、先物主導で日経平均の下げを助長している。新型肺炎の経済への影響という点では思惑が先走りしている面もある。感染者の数は急速に拡大傾向をたどってはいるが、インフルエンザなどとは感染規模が違うほか、死亡者数もそれほど多くはない。ただし、株価への影響という点からすると油断できない部分はある。
過去2003年頃に重症急性呼吸器症候群(SARS)が流行した時は全体株価が底値圏にあった。また、エボラ出血熱が取り沙汰された時は2014年で、この時も日経平均は1万5000円を軸とするもみ合い圏で強気に傾いていた相場とはいえず、日銀の量的緩和策第2弾(ETFの買い入れ枠拡大など)がその後の相場押し上げ要因となった経緯があった。今回はバブル後の高値に近い水準で、当時と比較するとそれだけ下値リスクが意識されやすいことにもなる。
一方、新型肺炎の感染拡大による経済への影響が懸念される現状は、米国を中心に世界的な緩和政策の継続を後押しすることにもなる。これは株式市場にとってはプラス材料だ。したがって、当面は新型肺炎の影響を受けざるを得ない相場だが、感染拡大の流れに歯止めがかかれば戻りに拍車がかかることも想定される。日経平均の下値メドとしては、テクニカル的に6ヵ月移動平均線が位置する2万2600円どころを下限とみている。
物色対象としては、不動産関連株が買われている。これは、前述したように世界的な金融緩和的な政策が担保されることで低金利環境が株価の先高期待につながっている。27日の東京市場で三菱地所 <8802> が一時6%も株価を上昇させたことは注目に値する。このほか、今はムード先行で売られている東京エレクトロン <8035> やアドバンテスト <6857> などの半導体関連株などもメモリー市況の回復期待が高まるなか、押し目買いの好機と捉えておきたい。
(聞き手・中村潤一)
<プロフィール>(くぼた・ともいちろう)
松井証券へ入社後、マーケティング部を経て現職。ネット証券草創期から株式を中心に相場をウォッチし続け、個人投資家の売買動向にも詳しい。
株探ニュース
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2020-01-27 09:30:00Z
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