リアル「半沢直樹」? 三菱UFJ銀行が、半沢淳一取締役常務執行役員(55)を頭取に昇格させる人事を固めたことが22日、分かった。同氏は小説やドラマで社会現象を巻き起こした「半沢」シリーズ原作者の池井戸潤氏と、旧三菱銀行(現三菱UFJ銀行)の同期。俳優堺雅人(47)演じた主人公の名前の由来になったとも言われる。副頭取など13人抜きの大抜てき人事でもあり、香川照之(55)が演じた「大和田常務」もビックリ!?
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「半沢直樹」と同姓の半沢氏が、ドラマを超えるような出世街道を突き進むことになりそうだ。同行の頭取は副頭取からの昇格が通例で、常務からの登用は極めて異例。しかも今回は13人抜き。「やられたら、やり返す、倍返しだ!」の名フレーズで、半沢が会社と対立したドラマとは異なる展開ではあるが、驚き人事の主役となった。
半沢氏は埼玉県出身。「半沢」原作者の池井戸氏とは88年4月の同期入行。池井戸氏がもっとも優秀な人材と感じていたとの指摘もあり、半沢直樹の名前の由来となったとも言われる。
王子支店を皮切りにバンカー人生を歩み始めた。12年に親会社の三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)の企画部部長に就任して以降、同行の中枢となる経営企画部門で活躍。同行最年少で役員となった出世頭でもある。18年にはトヨタ自動車などの有力企業が集う中部地方で名古屋営業本部長に就任。19年からはコンプライアンス(法令順守)担当トップとして、マネーロンダリング(資金洗浄)など金融犯罪の対策を担当している。
今回の人事は、親会社のMUFGで会長に就く三毛兼承頭取(64)の在任期間が約4年になるのを機に経営体制の若返りを図り、事業改革を加速させる狙いがあるとみられる。いずれも来年4月に就任予定。
ちなみに三菱UFJの副頭取4人のうち1人は堀直樹氏。頭取&副頭取の名前を合わせると「半沢直樹」となる偶然も。三井住友の高島誠頭取は62歳、みずほの藤原弘治頭取は59歳で、半沢氏は3大メガバンクでは最も若い頭取となる。
9月に放送されたドラマ最終回のクライマックスでは、大和田常務が半沢に東京中央銀行立て直しへ頭取になるよう伝えるシーンがある。「もし頭取にならなかったらお前がここで土下座。しかしもし頭取になったら、私がここで土下座だ!」。これに半沢は「分かりました。受けて立ちましょう」と応じる。放送終了から約3カ月。半沢氏は現実の世界で、銀行頭取という大役を担う。
▽元みずほ銀行築地支店長の作家江上剛氏「総会屋事件で第一勧銀に54歳の杉田力之頭取が誕生したときは「異例」と騒がれたが、最近はみずほ銀行の藤原弘治頭取が55歳で就任し、三井住友銀行の高島誠頭取も確か50代での就任だった。今、金融はビジネスモデル、未来のビジョンがつくれず、誰がやっても難しい時代になっている。50代のいちばんの働き盛りに託すという流れではないか。三菱グループは今年150周年を迎えたが、航空機事業でつまずいた三菱重工など凋落(ちょうらく)がいわれている。中核の銀行の抜てき人事で活を入れようという意味もあると思う」
◆過去のごぼう抜き人事 最近話題になったのは2015年、三井物産で安永竜夫社長が「32人抜き」で、執行役員から新社長に抜てきされた。ソニーでは95年、出井伸之氏が末席の常務から14人抜きで、社長に就任した。銀行では02年に足利銀行で15人抜き、04年に山口銀行で12人抜きで、頭取への抜てき人事が行われたことがある。
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2020-12-22 22:00:00Z
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