ヤフー親会社のZホールディングス(ZHD)とLINEは1日、経営統合した。楽天に迫る事業規模だが売り上げの多くを国内で稼ぐ。2022年にキャッシュレス決済を統一するなど足場を固める一方、人工知能(AI)開発を中心に5年で5000億円を投資し、東南アジアで成長を目指す。海外の巨大IT企業に対抗するにはソフトバンクグループとの連携がカギを握る。
LINEを率いる出沢剛氏がZHDの代表権のある共同最高経営責任者(CEO)に就き、川辺健太郎・共同CEOと2トップ体制になる。1日、都内で開いた戦略発表会で川辺氏は「情報、決済、コミュニケーションの3領域を起点にサービスの質を高める」と述べた。出沢氏は「ユーザーにとって価値のある統合にする」と話した。
ZHDとLINEの合計売上高は1兆3000億円を超える。それぞれ100以上のサービスを手掛け、重複分野を見直す。22年4月に決済サービス「PayPay(ペイペイ)」に「LINEペイ」を統合。メディア事業では「ヤフーニュース」と「LINEニュース」は当面併存する。
川辺氏は「全てのサービスにAIを投入する」と強調した。AIを中心に今後5年間で5000億円を投資する計画で、エンジニアの人数を現在の6500人から1万1500人に増やす。
新生ZHDは「日本・アジアから世界をリードするAIテックカンパニー」を標榜。国内で足場を固めてLINEが強い東南アジアで事業を展開する計画であり、23年度の売上高は2兆円、営業利益は2250億円を目指す。海外では米中テック企業が競合となるが、ZHDとLINEの合計時価総額はグーグル親会社アルファベットと約30倍の差がある。
東南アジアでは現地企業も強大だ。グラブ、ゴジェックは配車サービスを核に決済など多様な機能を使える「スーパーアプリ」を展開する。電子商取引(EC)ではショッピー、トコペディアなどが成長している。LINEはタイでは対話アプリやフードデリバリーで高いシェアを持つが、ECなどでは苦戦。インドネシアではフェイスブックなど競合に押され、20年9月時点の利用者は1300万人と3年で6割減った。映像配信などのサービスを増やしてスーパーアプリに脱却できるかが問われている。
巨大IT企業に比べて研究開発費が限られるZHDがアジアで存在感を持つには親会社のソフトバンクグループとの連携が鍵を握る。同社が運営するビジョン・ファンドは米国、アジアのAIテック企業に数多く投資する。川辺氏は「ビジョン・ファンド投資先の事業展開を手伝う形での海外進出も増やしたい」と話し、出沢氏は「グローバルでワンアップ(1つのアプリ)でやるチャレンジも両社でやりたい」と意気込む。
連携の成功モデルになりそうなのが18年に始めたペイペイだ。ビジョンファンド出資先であるインドのペイtm、ヤフー、ソフトバンクの技術力や営業力を合わせ、キャッシュレス分野で国内トップの地位を築いた。今後、ファンドの出資先がアジア各国で事業を拡大する際の「先兵役」をヤフーやLINEが担う可能性もある。
(伴正春)
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2021-03-01 11:32:13Z
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