19日閣議決定した追加経済対策では、新型コロナウイルス禍で疲弊した経済を下支えする各種給付金に加え、中長期の経済成長を牽引するデジタル化や経済安全保障の強化など、さまざまな事業が盛り込まれた。
家計支援
目玉は、18歳以下を対象にした10万円相当の給付など、家計支援策だ。格差是正を重視する岸田文雄政権の下、分配戦略に力を入れた結果だが、新型コロナウイルス禍で生活が困窮した世帯以外にもお金がばらまかれることになり、妥当性には疑問の声も上がる。
18歳以下の給付は年内にも現金5万円、来春に子育て関連に使途を限定したクーポン5万円分を配布する。
親の年収には所得制限が付いた。迅速な支給を重視して既存の児童手当の仕組みが活用され、夫と専業主婦、子供2人の“モデル世帯”なら年収960万円以上は対象外だ。子供が3人なら1002万円、1人なら917万8千円までが対象になるなど、扶養家族が増えれば所得制限は高く、減れば小さくなる仕組み。
ただ、支給対象は夫婦のうち収入の多い方で判定され、世帯全体の年収は考慮されない。このため夫婦ともに年収が高い共働き世帯も対象になる。コロナ禍でも生活に困らないこうした世帯にも支給されることで給付の目的がコロナ対策なのか少子化対策なのか分かりにくいとも指摘される。
児童手当の受給世帯は自治体に振込口座を登録しており、給付を手続きなしで受け取れる。ただ、18歳までの高校生らには、受給する口座の登録など一定の手続きが必要になりそうだ。
一方、経済対策では生活が苦しい住民税非課税の世帯を対象に、1世帯10万円の支給も行う。非課税世帯の対象は市区町村ごとに異なり、確認が必要となる。
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デジタル
デジタル分野ではマイナンバーカード取得者に対する最大2万円分のポイント付与が盛り込まれた。カード普及や消費喚起が狙いで、内訳は(1)カード新規取得で最大5千円(2)健康保険証としての利用登録で7500円(3)令和4年度中に始まる予定の公的給付金受け取り用口座の事前登録で7500円―。申し込み開始時期は検討中だ。
(1)は現行の「マイナポイント」事業と同じ仕組み。カード会社など決済事業者を一つ選び、買い物や電子マネーのチャージ(入金)をすると、決済事業者が利用額の25%を自社のポイントで還元する。原資は国費。上限の5千円分を還元してもらうには2万円の買い物などが必要となる。
現行事業は、今年4月末までにカードを申請または取得した人が対象。新たな事業は今年5月以降に申請した人や、4月末までに申請・取得したのに、現行事業のポイント付与を申し込まなかった人が対象となる。
(2)の健康保険証としての利用登録は、カード取得者向けサイト「マイナポータル」などで手続きする。既に登録受け付けを開始しており、準備を終えた医療機関では保険証の代わりにカードを使える。ポイントは登録済みの人も対象だ。
(3)の口座事前登録もマイナポータルなどで手続きが可能になる予定だ。登録は任意。政府は登録を済ませておけば、大災害時などに公的給付金を素早く受け取れると説明している。(2)と(3)のポイント付与方法は固まっていない。
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経済安全保障
経済安全保障では、人工知能(AI)などの分野を念頭に重要技術の研究開発や実用化で5千億円規模を確保し、基金などを設けた上で中長期的な支援に取り組む。
デジタル社会の基盤となる先端半導体分野でも国際共同開発や生産工場の国内立地を支援する。国内への工場建設で支援を受けるには一定の要件を満たすことが条件となる。世界大手の台湾積体電路製造(TSMC)による熊本県での工場新設が第1号の案件となる見通しだ。
先端技術をめぐる国家間の競争は激しさを増しており、経済安保を推進するための法案策定や技術の育成、流出防止などを進める考えも明記。国内にワクチンや治療薬などの重要な産業基盤を確保するため、製造拠点の整備を促す方針も盛り込んだ。
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2021-11-21 06:48:00Z
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