トヨタ自動車は11月16日、新型「プリウス」を世界初公開した。プリウスは1997年の誕生から25年間、ラテン語の「開拓者」に由来するその名の通り、新世代のエコカーとしてハイブリッド自動車(HEV)の普及を牽引してきた存在だ。
電気自動車(BEV)が注目を集める昨今、市場からは「いつまでHEVを作り続けるのか」という声も聞かれるようになっている。しかし、豊田章男社長は「みんなの手が届くエコカーであるプリウスは、どうしても残さないといけない車」にこだわったという。
「Hybrid Reborn」のアイコンに
次世代のパワートレーンとしてBEVのようなさまざまな選択肢が生まれる中、HEVであるプリウスがこれからも選ばれ続けるためにどうするべきか。豊田社長が真の「コモディティ」にするべきと見解を示す一方、開発陣は「コモディティ」ではなく、愛される車にする必要があると主張した。
これまでのプリウスのように合理性や燃費性能などを追求すると制約が増え、外観や内装デザインの難易度は上がってしまう。しかし、愛される車であり続けるために、高い環境性能、デザイン、走りを兼ね備えた車を目指し、「Hybrid Reborn」をコンセプトに開発を開始。豊田社長は「このケンカ面白いね」と開発陣を否定せず、できあがったデザインを見て「カッコいいね!」と言ったという。
豊田社長が「カッコいいね!」と評した外観デザインは、プリウス独自の「モノフォルムシルエット」を引き継ぎながら、スタイリッシュなデザインへシフトした。シンプルだが抑揚のあるボディー造形は、「感性に響くエモーション」と「普遍的な美しさ」を表現。ハンマーヘッドをモチーフに機能性とデザイン性を両立したフロントデザインと、薄型一文字のリヤコンビネーションランプのリヤデザインで、プリウスの先進性を強調している。
ボディーカラーは全8色を設定。うち2色は、スポーティな印象を与えるソリッドカラーベースの「アッシュ」と「マスタード」を新たに開発した。
内装は、圧迫感のない広々とした空間と運転に集中しやすいコックピットを両立。室内全体は黒を基調に、インストルメントパネルとシートステッチの加飾で、スポーティさと上質感を表現した。
インストルメントパネルには、トヨタ初採用の「イルミネーション通知システム」を設定し、トヨタセーフティセンスと連動する新機能をデザインに取り入れた。対象物を検知した際、アラームが鳴る前にイルミネーションの点滅でドライバーに注意喚起する。
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第2世代TNGAプラットフォームを開発
新型プリウスの進化したデザインや走りを実現するため、新たに第2世代TNGAプラットフォームを開発。低重心化や19インチ大径タイヤを採用した他、ボディーの各所には補強を施し、剛性や静粛性を高めた。
高効率のダイナミックフォースエンジンと、高出力の駆動用リチウムイオンバッテリーの組み合わせとなる、2.0Lプラグインハイブリッドシステムを採用。従来型と同等の低燃費(27.2km/L〜32.1km/L)を維持しつつ、164kW(223PS)のシステム最高出力を達成した。
EV走行距離は、従来型に比べ50%以上アップ。日常生活の大部分をEV走行だけでカバーできるよう、バッテリー性能を向上させた。また充電中にパワースイッチをオンにすると、外部電源の電力を利用してエアコンやオーディオの使用が可能になる「マイルームモード」を設定し、もう1つの部屋のように車内で過ごすことも可能だ。
安全面では、最新の予防安全パッケージ「トヨタセーフティセンス」を標準装備。また、高度運転支援システム「アドバンストパーク(リモート機能付)」を搭載し、さまざまな駐車シーンで自動で駐車・出庫できる他、車外から専用スマートフォンアプリを操作すれば遠隔での駐車・出庫も可能だという。
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コモディティが勝つか、愛車が勝つか
プリウスは、1997年10月に「世界初の量産ハイブリッドカー」として誕生。キャッチコピーは「21世紀に間に合いました。」で、今よりもずんぐりとしたコンパクトなセダンタイプだった。
2代目は、プリウスの特徴ともいえる「モノフォルムシルエット」を採用。3代目は、エンジン排気量を1.8Lに拡大し、ハイブリッドシステムをより高効率化したことで、走行性能も強化した。4代目は、TNGAプラットフォームを採用し、環境性能の向上と進化した走りを実現した。
走行状況に応じて、モーターとエンジン両方の動力を利用できるシリーズパラレルハイブリッド車(HEV)は今冬、家庭用電源からプラグを利用して充電できるプラグインハイブリッド車(PHEV)は2023年春頃に発売を予定している。また、日本での発売を皮切りに、北米・欧州などグローバルにも展開するという。
ワールドプレミアに登壇したデザイン統括部長のサイモン・ハンフリーズ氏は、プリウスは絶対に失ってはならないブランドだと強調。開発時の豊田社長と開発陣との議論になぞらえ、「『コモディティが勝つか』『愛車が勝つか』、勝負の行方、みなさんはどうなると思いますか?」と締めくくった。
「Hybrid Reborn」のコンセプトのもとに、7年ぶりに生まれ変わったプリウス。HEV市場を25年にわたり牽引し続けた先駆者が、新しいプリウスとともに切り開く次の25年に注目だ。
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2022-11-16 10:49:00Z
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