Jumat, 04 November 2022

米金融政策と金融市場の見通し:識者はこうみる - ロイター (Reuters Japan)

[東京 4日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)の利上げ路線を巡って市場参加者の思惑が交錯し、金融市場は不安定な値動きが続いている。今後の注目点と相場見通しを専門家に聞いた。

米連邦準備理事会(FRB)の利上げ路線を巡って市場参加者の思惑が交錯し、金融市場は不安定な値動きが続いている。今後の注目点と相場見通しを専門家に聞いた。写真は2021年4月撮影、米ウオール街のサイン(2022年 ロイター/Carlo Allegri)

●米金利先高観くすぶる、株価の下振れリスクに警戒

<SMBC信託銀行 投資調査部長 山口真弘氏>

今回の米連邦公開市場委員会(FOMC)では、今後、利上げペースが落ちることが示唆された一方、利上げの最終到達点は想定よりも上で、まだまだ利上げが続き、景気減速感が強まる内容だった。利上げの最終到達点がまだ明確に見えていない状況で、マーケットにとっては不安定感をもたらすような材料になっている。米金利の先高観がくすぶっている間は株価も上昇しづらく、下振れリスクを警戒しながら不安定な動きが続く時間帯に入った。

金利上昇自体はハイテク株や成長株にとってダメージが大きい。米国の巨大ハイテク株が売られ、半導体の需要鈍化が意識されると、日本株にも悪影響を及ぼすのではないか。

米国の雇用情勢は強いと言われているが、個別企業から出ているニュースは採用を止めたり、世界的に人員削減したりと、悪いニュースも増えており、指標で出ているよりも足元の状態は悪化しているとみている。ただ、それがマーケットに意識されるまでには時間がかかるため、相場の不安な状況は今後も続くだろう。

目先の日経平均は、節目の2万7000円を割り込む展開も考えられる。1つ目の理由は、ドル/円の上値が重くなってきた点だ。これまでは急速な円安進行で輸出企業を中心とした業績改善期待があったが、足元では149円トライも上値が重い状況。円安による業績の押し上げ効果は弱まってくるだろう。2つ目の理由は、中国のゼロコロナ政策の動向が不透明なことが挙げられる。これまではインバウンドの回復期待で日本株が買われていた面もあるが、回復がそこまで進まない可能性もあり、日本株の下振れ要因になるとみている。

●日本株の下げは限定的、来春にも利上げ停止条件整う

<野村アセットマネジメントの石黒英之シニア・ストラテジスト>

米連邦公開市場委員会(FOMC)は、声明文にはハト派姿勢をにじませたが、米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長会見も含めると全般的にはタカ派となった。いずれかの時点での利上げペースの減速は示唆したものの、利上げ停止は時期尚早との発言や、ターミナルレート(利上げの最終到達点)が想定より高くなるかもしれないとの発言があり、FF金利先物も上昇した。

一方、実質FF金利がプラスとなるまで政策金利を引き上げたいとも言及した。債券市場の逆イールドへの配慮も示した。これらが、今後の利上げの軌道を読み解く上でヒントになりそうだ。逆イールドは10―2年など様々な年限で既に生じており、金融にストレスがかかってる。FF金利からPCEのコアを差し引いた実質FF金利は、今の市場予想では来春にはプラスに転換する可能性が高まっており、利上げ停止の条件が整いそうだ。

株式市場としては、金融引き締め後退への淡い期待がいったん打ち砕かれ、リスクオフのようになった。ただ、日経平均は200日移動平均線を割った水準に押し戻されたに過ぎない。安値を更新して下落していく様相ではない。日本は休日明けとなるが、前日までの2営業日の米株安に比べれば下げは限られている。

今晩の米雇用統計や、来週の米消費者物価指数(CPI)などで、賃金インフレや物価の動向などデータを確認しながら値固めしていくだろう。年内は雇用統計もCPIも2回ずつ出てくる。過度なインフレが示唆されれば安値を割るような展開もありえるが、賃金や住宅価格の先行指標を見る限り、先行きの鈍化が示唆されている。株価は徐々にアク抜けするだろう。米中間選挙を経て、年末にかけては、ラリー気味になってもおかしくない。

●ドル高基調変わらず、146-149円がコアレンジか

<SBI証券 外国為替室部長 上田眞理人氏>

米連邦公開市場委員会(FOMC)声明とパウエル米連邦準備理事会(FRB)議長会見の内容はニュアンスに若干ずれがある印象。声明では米国の景気減速への懸念を示している一方、パウエル米FRB議長の会見ではインフレ抑制を優先するとし、市場も混乱したようだ。

ただ、米国の高インフレの状況を踏まえると、利上げはしばらく継続しなければならず、ペースを極端に落とすことも難しい。米国の実体経済はまだら模様ではあるものの、経済の減速を感じさせるような指標はまだ出てきていない。これを踏まえると、米金利の上昇は続き、相対的に他国よりも経済が底堅いことから、ドル高基調は変わらない。

足元ではポンドやユーロが売られ、クロス円を中心に円買い圧力が強いものの、ドルと円では日米金利差拡大の観点から円は買われづらい。ドルが一時的に145円を下回ったとしても、そのままドル安方向に向かう可能性は低い一方で、150円は政府・日銀による為替介入への警戒感から慎重になりやすい。ドルは当面146-149円を中心としたレンジ内で上下するとみている。

●ドル上振れ余地は150円半ばまで、来年は下落方向に基調転換か

<りそなホールディングス エコノミスト 村上太志氏>

米連邦公開市場委員会(FOMC)声明は12月もしくはそれ以降の利上げ幅縮小を示唆したものの、今まで出していたドットチャート(政策金利見通し)の内容や市場の織り込みを踏まえても、今後75ベーシスポイント(bp)の利上げを継続するというのはもともと想定しづらい。明確にしたことは意味があるものの、米連邦準備理事会(FRB)がハト派に転じたというわけではない。

その上で、利上げ停止は時期尚早としつつ、現時点でのドットチャートについて従来の想定よりも高くなっている可能性を示したことは意味があるものだった。

FRBは来年の春くらいに利上げペースを減速させ、インフレ鈍化の兆候が見えてきたタイミングで利上げ停止へと向かう可能性が高いとみている。米国以外の主要中銀が先行きについて比較的ハト派姿勢に傾いてるほか、米国のインフレの上昇率も徐々に低下していくことを踏まえると、米長期金利の上昇余地は限定的となりやすい。

市場がターミナルレート(利上げ最終到達点)を5.5%を織り込んだとしても、米長期金利は4%半ばまでの上昇にとどまる。ドルは上振れても150円半ばくらいまでではないか。米FRBが来年利上げを停止しそれに伴い米長期金利が低下に転じ、また日本の経常赤字拡大が一服するとみられることから、ドルは下落方向にトレンド転換する可能性が高いとみている。

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2022-11-04 03:28:00Z
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