高齢者向けに新型コロナウイルスのワクチン接種が本格化しているなか、観光、運輸業界が関連サービスを強化している。接種会場近くのホテルが割安の宿泊プランを用意したり、旅行会社が接種の受け付け業務を受託したり。バス会社は接種会場までのシャトルバスに注力する。コロナ禍で苦境にある業界だが、接種の円滑化をアシストしながらビジネスにつなげる考えだ。
「客室なら、接種までの時間だけでなく接種後も安全に過ごしていただける」
大規模接種センターの会場となった大阪府立国際会議場(大阪市北区)近くにある三井ガーデンホテル大阪プレミア(同)は、65歳以上の接種者本人とその付き添い者を対象に、1泊につき最大30時間滞在できる宿泊プラン(1室6700円~)を売り出した。接種会場へ移動するためのタクシー券付きだ。
ホテルを運営する三井不動産ホテルマネジメントは、販売前に市内の高齢者施設にもPR。東京会場の近くなど各地の系列ホテルでも売り出した。
阪急阪神ホテルズも、ホテル阪急レスパイア大阪(同市北区)で通常より2~3割安い宿泊プラン(1泊1室朝食付き6千円~)を接種者とその介助者向けに販売。緊急事態宣言に伴い直営7ホテルを休業しているなか、宿泊利用の増加を目指す。
大阪会場に隣接するリーガロイヤルホテルは館内レストラン5店舗で、ワクチン接種券を提示すれば指定メニューを10%値引きするサービスを始めた。鉄板焼きの予約が好調という。「接種前後の休憩に利用してほしい」と呼びかける。
一方、旅行会社は大規模接種の受け付け業務を受託。大阪会場では東武トップツアーズが防衛省から一部業務を受託した。
日本旅行は東京会場のほかに、ワクチン接種の一部業務を全国約140の自治体から受託した。接種予約や会場での受け付け業務を担っており「大規模イベントなどの運営ノウハウを生かしている」。今回の受託を生かし、事業分野を広げたい考えだ。
■運輸業界にも恩恵
集団接種の会場へスムーズに移動してもらおうと、自治体が民間のバスを借り上げて直行便に利用する動きが広がっている。接種の利便性を高めようという試みだが、コロナ禍で経営が圧迫されているバス会社にとっても思わぬ恩恵となっている。
「無料なのに便数も多い。早くワクチンを打ちたかったので、とても助かった」。大阪府富田林市の会場への輸送を担っている近鉄バスには、乗車した高齢者から感謝の声が寄せられたという。バスは約30分おきに近鉄の富田林駅から発車。市が同社と契約し、乗車料金は無料だ。
同様の動きは各地で広がる。大阪シティバスは大阪市の要請を受け、接種センターとなった府立国際会議場と、梅田や難波を結ぶ直通バスを運行。奈良交通も奈良県明日香村で、近江鉄道は滋賀県草津市で、会場への直通バスを運行する。
迅速な接種完了を目指す自治体にとり、移動手段の確保は重要な課題だ。明日香村の担当者は「村の人口の4割超は高齢者で、免許を返納した人も少なくない。山間部など接種会場から数キロ離れた場所に住む人もいる。広い車内で密を避けられ、安全に運べるメリットは大きい」と語る。
バス会社にとっても直通バスは〝朗報〟だ。あるバス会社は「乗車率はコロナ前から5~7割の水準にまで落ちている。事業の委託はありがたい」と話す。
バスを接種会場として提供しようという事業者も現れた。南海電気鉄道グループの関西空港交通は、ワクチン接種ができるスペースを設けたバスを用意し、自治体へ提案している。担当者は「都合のいい場所に移動でき、トイレや冷暖房も完備している。病院で接種した後の休憩場所にも使える」とアピールする。
奈良県橿原市はワクチンの接種券と一緒に、500円分のタクシー券4枚を送付している。市内のタクシー会社は「1日あたり30~40枚の利用がある。コロナ禍前より売り上げは半分程度に落ち込んでいたが、直近では利用者が増え日中の予約が取りにくいこともある」と話す。(黒川信雄、田村慶子)
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2021-05-29 02:49:04Z
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