【北京=川手伊織】中国税関総署が7日発表した2021年10月の貿易統計(ドル建て)によると、輸出は前年同月比27.1%増の3002億ドル(約34兆円)だった。コスト高による価格転嫁が支えたが、数量ベースでみた外需は伸び悩んでいる。この傾向が続けば景気回復が遅れる可能性もある。
輸入は20.6%増の2156億ドルだった。品目では、天然ガスが2.4倍、原油が6割それぞれ増えた。天然ガスは価格が2倍に跳ね上がり、伸びが目立った。一方、鉄鉱石は金額、数量ともに前年同月を下回った。最大の輸入品目である半導体は1割超増えた。
輸出から輸入を差し引いた貿易黒字は845億ドルで、5割近く増えた。新型コロナウイルスがまん延する前の19年10月と比べると、輸出は41%、輸入は26%それぞれ増えた。
輸出を品目別にみると、パソコンと衣類がそれぞれ前年同月より2割増え、9月から伸びを拡大させた。マスクなど織物は新型コロナ特需の一巡で9月まで減少が続いたが、10月は7カ月ぶりに増加に転じた。
主な地域別で伸びが目立ったのは、4割伸びた欧州連合(EU)向けだ。全体の2割近くを占める最大の貿易相手国である米国向けや東南アジア諸国連合(ASEAN)向けも2割増えた。
輸出は3割近い伸びを続けているが、主因はコスト高に伴う輸出製品への価格転嫁だ。半導体など世界的に価格が上がり、製品価格に反映しやすかったもようだ。
携帯電話の輸出額が12%増えたのは、単価が2割上がったためだ。数量は7%減った。家電や液晶パネルも単価が3割前後上がったが、数量の伸びは6~7%にとどまった。
数量ベースでみた海外需要は必ずしも堅調とは言い切れない。公表済みの9月分をみると輸出価格指数が10.6%上がったのに対して、輸出数量指数は8.4%の上昇にとどまった。
数量の伸びが価格の伸びを下回るのは新型コロナの打撃から輸出が回復し始めた20年6月以来だ。10月の製造業購買担当者景気指数(PMI)をみても、海外に限った新規受注は6カ月連続で節目の50を下回っている。先行きの海外への出荷状況が芳しくないとの回答が目立っている。
製品価格の引き上げが一部でみられるが、原材料高と比べるとペースはなお遅いとの見方もある。中国人民大学の劉元春副学長は「コスト高で利益が非常に少ない、または実質的に利益が出ていない企業の多くが(利益率の低い)注文を大規模に受け付けられない」と分析する。
中国国内の電力制限も工場の稼働率低下を通じて、輸出量の伸びを抑える要因だ。海外のサプライチェーン(供給網)復旧に伴い、新型コロナ後に中国に代替発注していた分が再び海外に分散する可能性がある。こうした要因も中国からみれば、先行きの海外受注動向を不透明にする。
中国経済は、資源高で企業収益が悪化し設備投資が落ち込んでいる。雇用や所得の回復がもたつく家計部門も、新型コロナの感染再拡大に伴う移動制限が加わり、消費は力強さを欠く。政府の規制強化で不動産市場も冷え込んでおり、内需は停滞している。数量ベースでみた外需の伸び悩みも続けば、景気回復が遅れる可能性もある。
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2021-11-07 05:26:14Z
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