株式や投資信託などの利益が非課税になる「NISA」(ニーサ)を大幅に拡充した新NISAが今年、スタートした。「非課税期間が無期限」「生涯投資枠が最大1800万円まで拡大」などメリットが強調され、初めて投資に乗り出した人も多いだろう。ただ、新NISAも投資なので、得するばかりではない。内容をよく見極めて始めたい。
今年は日経平均株価が年初から上昇基調となり、バブル経済崩壊後の高値を更新。終値が平成2年2月以来、約33年11カ月ぶりとなる3万5千円台を回復した。新NISAに対する期待も一因とされ、年2兆円が日本株に流入する可能性も指摘されている。
証券会社の広報担当者は、新NISAのための口座開設の申し込みが「年明けから加速している」。口座を開設した東京都の男性会社員(46)は「無期限で非課税というのは大きな魅力だ」と期待する。
NISAは「貯蓄から投資」を促すために、平成26年に設けられた。「つみたてNISA」と「一般NISA」の2種類があり、それぞれ限度額や非課税期間が定められていた。
新NISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」となり、これまでできなかった枠の併用ができる。限度額が大幅に増えたほか、売却益や配当益の非課税期間は無期限になった。使い勝手がよくなった形だ。
元本割れの恐れも
投資の呼び水になりそうな新NISA。ただ、投資に変わりはないので、従来のNISAと同様にリスクがある。損益通算や繰り越し控除ができないのだ。
課税口座では同じ年に発生した利益と損失を相殺する損益通算や、その後に残る損失を最大3年間繰り越せる繰り越し控除で税負担を抑えられるが、NISAや新NISAの非課税口座では、こうした恩恵が受けられない。
たとえば、課税口座で30万円の利益が出て、非課税口座で30万円の損失が出たとしても、損失は非課税口座のため相殺されず、30万円の利益に約20%、約6万円の税金がかかる。
もちろん、元本割れのリスクもある。株価は企業の業績以外にも、新型コロナウイルス禍やロシアによるウクライナ侵略などのような不測の事態に影響され、大きく変動する。現在の高水準の株価が維持される保証はない。
「新NISAも利益が出ない限り、メリットはない。前のめりにやり過ぎず、利益が出るように運用すべきだ」。ニッセイ基礎研究所主任研究員の前山裕亮さんはこう警告する。
まずは投資に慣れる
投資の原則は「長期・積立・分散」とされる。投資経験が乏しい人や投資初心者は、新NISAのつみたて投資枠で投資信託を購入するのがおすすめだ。投資信託は専門家が投資・運用している。
投資信託も完璧に安全というわけではない。特に為替変動リスクには注意が必要だ。海外の株式や債券で運用する投資信託の場合、円を外貨に交換して対象銘柄を購入するため、為替相場の影響を受ける。円安になればプラス、円高になればマイナスに作用する。今年は、為替が円高ドル安方向に転じる可能性が予想されている。
前山さんは「株価の動きに一喜一憂せず、ほったらかしにしても大丈夫と思える金額で始めるといい。生涯投資枠の1800万円をフルに使う人は多くない。5千円でも1万円でも、身の丈に合った金額から始め、投資に慣れることが大事だ」とアドバイスしている。(宇野貴文)
NISA(少額投資非課税制度)
株式や投資信託などの売却益や配当益を非課税にする制度。「Nippon Individual Savings Account」の略。英国の制度「ISA」(アイサ)をモデルに平成26年に始まった。長期の積立・分散投資に適した投資信託に投資するタイプ(新NISAでは「つみたて投資枠」)と上場株式などが投資対象のタイプ(同「成長投資枠」)がある。新NISAで年間の投資上限額が引き上げられ、非課税期間が無期限になるなど制度が拡充された。
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2024-01-21 00:00:01Z
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