投資家の間で将来の円高進行への不安が後退しつつある。日銀が17年ぶりの利上げに踏み切りながら緩和的環境の継続を表明したことが背景で、円の見通しの変化は為替ヘッジコストの低下にも表れている。
日本の投資家が円高による海外投資の目減りを防ぐために利用する3カ月物円ベーシス・スワップはその一例だ。上昇するほど円高リスクに対するヘッジ需要の減退を示唆するこの商品は先週、2022年1月以来の高水準で取引を終えた。
より高いリターンを海外に求める日本の投資家にとって、厳しい状況がここ数年続いている。21年末以降、円が対ドルで20%以上下落し、海外資産の購入が割高になった。海外の中央銀行がインフレ抑制のために政策引き締めを急ぐ一方、日本銀行が今月までマイナス金利を維持したことで、為替のヘッジコストも高騰した。ヘッジ需要減退の兆しは、国内投資家が円が急反発することへの懸念を弱めていることを示唆している。
みずほ証券金融市場部の大森翔央輝チーフデスクストラテジストは、日本のリアルマネー投資家がヘッジなしで海外資産を買っていることが円ベーシスを押し上げていると指摘する。投資家はドル・円が短期的には大きく下がらないと考え、米国の国債やクレジットなど、ヘッジを付けずにそのまま買えば利回りの良い資産の購入を検討し始めたという。
日銀による07年以来の利上げにもかかわらず、さまざまな要因が円に対する下落圧力を示している。日米の利回り格差が依然大きいこともその一つで、円は先週の日銀の決定以降、対ドルで1%以上下落している。
日本の通貨当局者は今週、円安の進行について投機的な動きだとし、対抗措置を取ることを警告したが、市場の反応はほとんどなかった。
10年物の米国債の日本国債に対するイールドプレミアムは3.5%ポイントで、このスプレッドが変わらなければ、ドル・円が146円10銭を上回っている限り、米国債への投資は利益を上げ続けることになる。26日のドル・円は151円台前半で推移している。
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2024-03-26 04:05:58Z
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