最新のブルームバーグ「マーケッツ・ライブ(MLIV)パルス」調査の結果によれば、日本銀行が18-19日の金融政策決定会合でマイナス金利政策を終了した場合でも、日本マネーは海外にとどまりそうだ。
回答者273人のうち、2007年以来となる日銀の利上げで日本の投資家が海外資産を売却し、その資金を本国に還流させると答えたのは約40%にとどまった。これは米国の株・債券市場には朗報だ。
日銀の利上げが限定的なら、他の主要国との金利差は大き過ぎるままで日本人投資家は資金を還流させられない可能性がある。日本の投資家は4兆4300億ドル(約660兆円)に上る巨額の外国証券を保有するため、日銀による歴史的な政策転換で世界に深刻な影響が及ぶとの懸念は和らぐだろう。
ファイブスター投信投資顧問の下村英生シニアポートフォリオマネジャーは、個人投資家の資金が「外債や、株の投資信託などを通じて海外に行く動きというのは額としても大きく、この流れがマイナス金利解除で変わることは考えられない」と述べた。
日本の投資マネーは過去10年ほど、より高いリターンを求めて米国やケイマン諸島に向かった。
23年に外債を18兆9000億円相当購入した日本の投資家は日銀の政策転換観測が高まる中でも、今年1-2月に3兆5000億円の外債に投資した。個人投資家の外国株購入もここ数カ月に増加した。
日銀は19日までの2日間に開く金融政策決定会合で、世界最後のマイナス金利政策を解除する是非を議論する。市場の金融政策見通しを反映するオーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)は15日時点で、3月のマイナス金利解除の確率を67%織り込んだ。
MLIVパルス調査では、日銀が短期の政策金利を現在のマイナス0.1%から年末までに0.01-0.5%に引き上げると予想した回答者は73%だった。仮に日銀が24年末までに同金利を0.5%に引き上げたとしても、OISが示すように、米国の同等の短期金利より400ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)ほど低くなり、円には不利になる。
日本以外の国・地域の中銀がインフレ抑制のため積極的に引き締めを行った中、円はドルに対し過去1年間で約10%下落し、ブルームバーグが追跡している16の主要通貨で最大の値下がりを記録した。日銀当局者は賃金上昇を支えにインフレ率が2%以上の水準に定着する兆しを待っている。
MLIVパルス調査では、円相場が1ドル=120円から140円の間で年末を迎える可能性があるとの回答は69%に上った。通貨ストラテジストの間では、円の上昇は数%にとどまると予想されている。
ドイツ銀行のチーフ国際ストラテジスト、アラン・ラスキン氏は、「穏やかなシグナルを伴う引き締めのニュースで円が上昇しても、すぐに反転しやすい」と指摘した。
円の上値が限定的なら日本株にはプラスに働くだろう。
円安や緩和的な金融政策、東京証券取引所によるコーポレートガバナンス(企業統治)改善の推進を受け、日経平均株価は今年、過去最高値を更新した。過去1年間の日本株のリターンは配当再投資分を含めてプラス45%で、S&P500種株価指数(同34%)やMSCI世界指数(同約30%)を上回る。
米著名投資家ウォーレン・バフェット氏による日本の商社株購入の資金のほとんどが低利回りの円債を通じて調達されたことは、投資家がいかに日銀の緩和政策の恩恵を受けてきたかを物語っている。
今回の調査の参加者は、日本株について比較的楽観的で、日本株は構造的に依然として割安だとの回答が45%だった。
三井住友信託銀行の瀬良礼子マーケット・ストラテジストは、日本株市場に押し目があるかもしれないが下降トレンドに入ることにはならないと予想。ドル・円が1ドル=120円前後に下落した場合は株価に影響があるだろうが、そうした可能性は低いとの見方を示した。
今回のMLIVパルス調査は、MLIVブログを運営するブルームバーグの「マーケッツ・ライブ」チームが、ブルームバーグの読者を対象に端末とオンラインで3月11日から15日まで実施した。
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原題:Japan’s $4 Trillion to Stay Offshore After BOJ Hike: MLIV Pulse(抜粋)
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2024-03-17 00:00:00Z
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