円相場は、日本のレッドラインと言われる水準をはるかに超えて急落している。トレーダーらは、当局がいつ通貨買い支えを始めるのか、なぜまだそうしないのかと疑問に思っている。
26日に日本銀行が金融緩和の継続を示唆した後、円は対ドルで34年ぶりの安値まで下落した。29日は日本が祝日であるため、外国為替市場の流動性が低下し、円がさらに急落するリスクが高まる恐れがある。
鈴木俊一財務相は日銀会合後、政府は外国為替の動きに適切に対応すると繰り返した。同相は今月初め、イエレン米財務長官に円安への懸念を伝えたが、市場関係者はこれを介入への布石と見なした。
神田真人財務官は、1カ月で10円動くケースを急激な動きとしている。円のここ1カ月の対ドル下落幅は約7円だが、先週だけで2%以下げ、年初来では10%以上安くなっている。
ペッパーストン・グループの調査責任者、クリス・ウェストン氏は「当局は、水準自体を目標にはしないと言うかもしれないが、トレンドと変化率に細心の注意を払っている。外国為替市場は、かつての債券自警団のように日本当局に挑戦している」と話した。
日本が消極的に見える理由の一つは、介入だけでは円安の一因となっている金利差の大きさを変えることができないからかもしれない。日本の金利はマイナス圏を脱したとはいえ、米国や他の国々の高い利回りから投資家を誘う水準にはほど遠い。
ゴールドマン・サックス・グループのストラテジストは、世界のマクロ経済的な背景はさらなる円安を示唆しており、そのため介入を成功させるのは難しいかもしれないと言う。
ゴールドマンの通貨・金利・新興市場戦略の世界責任者、カマクシャ・トリベディ氏は「堅調な成長、緩やかな政策調整、フォワード金利の上昇リスクという当社の基本見通しは、円にとって非常にネガティブな組み合わせだ。唯一の問題は、日本の政策当局が円安にどの程度強く対抗するかだが、その手段は限られていると思われる」と分析した。
それでも、円相場が26日のように他の資産をアンダーパフォームし続ければ、介入のリスクは大幅に高まるだろうと、ゴールドマンのストラテジストらは付け加えた。円相場は同日1.7%下げ、1ドル=158円30銭円前後まで下落した。
円安は日本にとって必ずしも悪いことではないと、ドイツ銀行の為替調査世界責任者、ジョージ・サラベロス氏は言う。円安はインフレの問題を引き起こしておらず、日本の投資家が保有する海外資産の価値を押し上げていると、同氏は電子メールで配布したリポートで指摘した。
26日の日銀政策決定後の記者会見で、植田和男総裁も円安がインフレに与える影響を深刻視はせず、為替レートが需要を押し上げることで経済に利益をもたらしているとの考えを示した。
サラベロス氏は26日「日本は穏やかな円安政策をとっている。市場が無秩序な動きになれば介入の可能性を排除できないが、植田総裁が今日の記者会見で円安の重要性を軽く扱ったことと、利上げの緊急性はないと示唆したことは、注目に値する」と述べた。
トレーディング戦略
トレーダーらは、日本の介入が成功すると考えていないようだ。2006年までさかのぼる米商品先物取引委員会(CFTC)のデータによると、日銀会合を前にヘッジファンドと資産運用会社の円ショートポジションの合計は過去最大となっていた。一方で、先週のインプライドボラティリティーの急上昇に見られるように、懸念は高まっている。
現在の水準で円をショートするのはリスクが高いが、円に弱気の投機筋は、当局が動いたら今より低い水準でドルを買おうと計画している可能性が高いと、ペッパーストーンのウェストン氏は言う。
「ヘッジファンドが介入の動きを捉えるために、スポットから400-500ピップス下の指し値注文でアルゴリズムを設定することは想像できる。ドルが急落してもすぐに戻ると考えているからだ」と同氏は述べた。
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原題:Yen Watchers Ask Where Is Japan as Currency Losses Accelerate(抜粋)
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2024-04-28 09:35:09Z
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