4月に就任した木村敬熊本県知事は、同県菊陽町に第2工場を建設すると表明した半導体の受託生産世界最大手、台湾積体電路製造(TSMC)に関して、第3工場も県内に誘致したい意向を示した。
木村氏は11日のインタビューで、TSMCと第3工場の誘致に向けた議論は現時点ではしていないが、同社の投資パターンが3工場でワンセットになっているとして、県内に「第3工場までは有り得る、あってもいいのではないか」と述べた。今夏ごろには同社の台湾本社を訪れ、今後に向けた協議をしたいとの意向を伝えたという。
第2工場は、第1工場の隣接地で年内着工の計画だ。木村氏は第1工場の支援を通じて道路などのインフラ整備、半導体人材育成の強化、TSMC社員の子供の教育受け入れ態勢など多面的な知見を得たとして、これらは第2、第3工場の支援にも活用できると強調した。
TSMCの日本進出の地に選ばれた熊本県は、国などと連携し第1工場の建設を全面的にサポートした。県は同社の熊本進出を千載一遇のチャンスとしてとらえ、半導体産業の集積に向けた支援に取り組む。
TSMCなどの発表によると、熊本県内の2つの工場で計3400人以上の雇用を見込む。工場周辺ではすでに地価が高騰し、従業員らの住宅や交通網などインフラ整備も進む。九州経済調査協会は、TSMC進出による熊本県への波及効果は2030年までの10年間で約10兆5360億円に上ると試算する。
台湾にはTSMCを筆頭に半導体関連企業や研究機関などが集積する新竹サイエンスパークがあるが、木村氏は「私もサイエンスパークみたいなものを作りたいとマニフェストに掲げている」と述べた。
また半導体工場では大量の水を使うため地下水の保全への懸念が高まっていることについて、第2工場については県内のダムの余剰水を活用できないか検討を始めていると明かした。
木村氏は1974年生まれの49歳で、東京大学を卒業後、自治省(現総務省)に入省。大学時代の恩師、蒲島郁夫前知事の誘いを受けて熊本県に赴任し、総務部長や副知事を歴任した。
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2024-05-11 07:03:37Z
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