Minggu, 07 Juni 2020

中外製薬、ソニーに迫る時価総額ーコロナやがん治療薬に期待 - ブルームバーグ

新型コロナウイルス感染拡大を契機に中外製薬が株式市場で存在感を示している。堅調な業績にコロナやがん治療薬への期待が加わり株価が上昇、時価総額が医薬品で首位になり、日本企業で6位のソニーに迫る。期待や理想を含めて買われてきた中外製薬を含む医薬品セクターは転機を迎えており、今後は売り圧力も膨らむと市場参加者は見ている。

Images Of Chugai Pharmaceutical Co. As Company Surges Most In Four Decades After Roche Holding AG Said To Be In Buyout Talks

中外製薬本社

Photographer: Kiyoshi Ota/Bloomberg

  中外製薬株の5日終値は1万6355円。前日に付けた上場来高値圏で時価総額は9兆1537億円。コロナが株価に影響を与え始めた2月後半に医薬品首位だった武田薬品工業を上回り、ソニーにほぼ並ぶ(3日はソニー超え)。4月下旬に開示した第1四半期(1ー3月)コア営業利益は前年比55%増、血友病治療薬「ヘムライブラ」が好調だった。今期(2020年12月期)は22%増と期初予想を維持した。

時価総額ランキング(6月5日終値ベース)

中外製薬はソニーに迫る勢い

  この業績に加えて関節リウマチ治療薬「アクテムラ」をコロナ治療薬とする治験を進めていることが投資家の期待を刺激、株価を押し上げている。富士フイルムホールディングス傘下の企業が製造する「アビガン」承認は5月に下りなかったもようで富士フHD株は伸び悩んだ。これが中外製薬への期待を後押ししたが、コロナ治療薬はまだ思惑の範囲内だ。

  東海東京調査センターの赤羽高アナリストは電話取材で、中外製薬は好業績に加えて「がんやコロナ治療薬の前向きなニュースがそろい安心感がある」と話した。高値警戒感はあるとしながら「がん治療薬での進展があれば収益に大きく貢献する可能性があり、株価は堅調を保つだろう」と予想した。

  中外製薬の第1四半期売上高でがん領域は約半分を占める。5月末の米国臨床腫瘍学会を踏まえて中外製薬親会社ロシュのがん治療薬「テセントリク」と「アバスチン」の併用療法の結果への評価が高まりつつあると赤羽氏は述べた。コロナ治療薬について中外製薬(広報IR部メディアリレーションズグループ)の清水智子氏は「4月発表の通り5月25日から治験のための患者登録を開始した」と話した。

割高セクター

  中外製薬は6月30日を基準日として1株につき3株の株式分割をすると1月に発表している。投資単位を下げ株式流動性を⾼めて投資家層の拡⼤を図る。

  アイザワ証券投資顧問部の三井郁男ファンドマネジャーは、ロシュとの関係を含めたパイプライン(開発中の医薬品)の多さや研究開発費の大きさなど成長性が顕著な上に「取引単位が下がることで需給上のプラス要素が加わる」と評価した。高齢化の中でコロナ治療薬以外にも医薬品への期待値は高いとして「医薬品セクターの中のコアストックとして長期保有する投資家が多いのでは」とみている。

  こうした見方から中外製薬を含む医薬品株は先行してあげており、東証株価指数(TOPIX)33業種で過去6カ月、3カ月は医薬品セクターが最も上げた。逆に過去1週間は最も下げている。SMBC日興証券投資情報部の太田千尋部長は今週の相場展望で「これまでパフォーマンスが良かった医薬品などが売られる」と予想した。

TOPIXと医薬品セクターを大きくアウトパフォーム

  野村証券の伊藤高志エクイティ・マーケット・ストラテジストも、米国株式市場を含めてヘルスケアの下げが目立ってきていると指摘した。これまでは新型コロナのテーマ相場として理想買いが入っていたが、経済指標の改善や金融政策の充実などから景気の回復を確認できるようになったとして「理想を追い求める必要のない相場になってきた」と語り、医薬品銘柄に売り圧力が強まる可能性を指摘した。

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