【北京=山下福太郎、瀋陽=川瀬大介】中国・北京市にある日本の半導体大手ルネサスエレクトロニクスの主力工場で従業員に新型コロナウイルス感染者が相次ぎ、16日夜から全面的な操業停止に入ったことがわかった。中国政府が今月中旬に「ゼロコロナ政策」を転換し、現在は自由な操業が認められているが、急速な感染拡大が日系企業の生産にも影を落とし始めた。
ルネサスは操業停止の理由について「安定した稼働と従業員の安心・安全を第一に考えた」(広報)と説明。感染の広がりで人手が足りず、生産ラインの維持が難しくなったという。当初は数日間の予定で稼働を停止し、感染者が減らなければ延長を検討する。
ルネサスが北京の工場を一定期間止めるのは、最初に感染が拡大した2020年1~2月以来。北京の工場は約1000人の従業員がおり、主に家電や産業用機器、自動車向けの半導体の生産を手がけ、国内外の企業に出荷している。
11月以降、北京市や上海市など大都市で感染者が急速に増え始めている。中国メディアは感染のピークについて「今後1か月以内に来る」との見方を報じている。ルネサスの操業停止も長引く可能性があり、他の日系製造業の稼働にも影響が広がる恐れがある。
東北部の大連市では日系企業の工場で27人の感染者が出て、約1000人の従業員のうち1割が出勤できなくなり、稼働率が落ちている。同市の別の日系企業では、社員の2割弱が出勤できなくなった。
中国政府は12月、感染封じ込めを優先するゼロコロナ政策を転換。落ち込んだ景気を回復させるため経済活動を優先する狙いだったが、逆に感染者の増加を招き、経済再開が容易でないことが浮き彫りになっている。
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2022-12-17 06:00:00Z
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