日本の貧しさを痛感した2022年。しかし、大きな変化は10年前に(写真:Fast&Slow/PIXTA)
2022年には、日本の国際的な地位が下がった。1人当たりGDPで、日本は台湾に抜かれた。日本の貧しさは、身の回りの出来事でも感じられるようになった。しかし、実は、大きな変化が、外国人旅行客の急増という形で、10年前から生じていた。ただ、それが日本の貧しさの表われであることに、多くの人は気づかなかった。
昨今の経済現象を鮮やかに斬り、矛盾を指摘し、人々が信じて疑わない「通説」を粉砕する──。野口悠紀雄氏による連載第84回。
1人あたりGDPで台湾に抜かれる
2022年は、日本が貧しくなったことが、多くの人によって痛感される年になった。急激に円安が進んだため、さまざまな指標で日本の国際的地位が下がったからだ。
それを端的に示すのが、豊かさの点で日本が台湾に抜かれたことだ。IMF(国際通貨基金)のデータベースによると、日本、韓国、台湾の1人あたりGDPの推移は、図表1のとおりだ。2022年の推計値で、台湾は日本を抜いた。
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10年前の2012年をみると、日本の1人あたりGDPは、韓国の1.9倍、台湾の2.3倍だった。
2013年に異次元金融緩和が導入されて円安が進み、日本の地位は顕著に低下した。それが2019年まで続いたのだが、2020、2021年に、韓国、台湾が日本に急迫したのだ。
IMFの予測によると、日本、韓国、台湾の相対的な関係は、今後もしばらくはいまのままで続く。しかし、韓国の成長率が日本より大幅に高いので、近い将来に韓国も日本を抜く可能性が高い。
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2022-12-24 23:00:00Z
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