【シリコンバレー=奥平和行】米IT(情報技術)大手の間でオフィスの再開を遅らせる動きが広がってきた。グーグルは28日、出社再開の時期を9月から10月18日に延期し、新型コロナウイルスのワクチン接種を出社の条件とすることを明らかにした。感染が再び広がっており、ほかの企業の再開計画に影響を与える可能性もある。
グーグルのスンダー・ピチャイ最高経営責任者(CEO)が同日、社員に新たな方針について説明した。同社は2020年12月、出社再開の時期を21年9月にすることを決めていた。再開後は社員の約6割が出社と在宅勤務を組み合わせる「ハイブリッド型」に移行する予定だった。
社員に送った電子メールでピチャイ氏は「デルタ型(インド型)による感染が広がり、各地で働く社員の多くが出社再開を懸念している」と述べた。また、多くの社員が既にワクチン接種を受けていると指摘したうえで、米国では数週間以内、ほかの地域でも数カ月以内に出社する社員に接種を義務づけると説明した。
アップルもオフィス再開の時期を少なくとも1カ月延期する方針を決めた。米ブルームバーグ通信などによると、9月に出社再開を予定していたが、早くても10月に遅らせる方針を社員に伝えたという。同社では一部社員が再開後の勤務体系に不満を持ち、会社側に再考を求めていた。
米IT大手は20年春、新型コロナの感染拡大を受けていち早く在宅勤務への移行を決めた。各社はビデオ会議システムやチャット(対話)アプリの導入が早く、比較的円滑に全面的な在宅勤務に移行できた。一方で「社員間の協業を促すためには出社が必要」などと考え、再開に向けた準備を進めていた。
業績を伸ばしてきたIT各社の働き方は注目を集め、新型コロナへの対応でも多くの企業が指針としてきた経緯がある。再開についても、特に米シリコンバレーでは「大手の動向をみながら決める」(中堅IT幹部)といった企業が多い。グーグルやアップルが延期する方針を示したことにより、在宅勤務の期間がさら長くなる可能性がある。
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2021-07-28 18:39:28Z
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