Rabu, 21 Juli 2021

トヨタ、スズキ、ダイハツ、CJPTの4社長共同会見 「鈴木相談役に『軽のためにいいことしたね。ありがとう』と言わせたい」と豊田社長 - Car Watch

軽商用は日本になくてはならないクルマ

 トヨタ、スズキ、ダイハツ工業、CJPT(Commercial Japan Partnership Technologies)の4社は7月21日、新たにスズキとダイハツがCJP(Commercial Japan Partnership)に参画したことを発表する共同記者会見をオンラインにて行なった。

 CJPとは、いすゞと日野自動車が培ってきた商用事業基盤にトヨタのCASE技術を組み合わせることで、CASEの社会実装・普及に向けたスピードを加速させ、輸送業が抱える課題の解決やカーボンニュートラル社会実現への貢献を目的に2021年4月1日に立ち上がった新会社。

いすゞ、日野、トヨタ、商用事業におけるCASEの社会実装と普及に向け新会社設立

https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1314138.html

 会見ではまずトヨタ自動車 代表取締役社長 豊田章男氏が「人々の暮らしをもっとよくしたい、次世代にもっといい日本、もっといい地球を残したいというのは自動車産業全体のミッションであり、この想いは同席している自動車メーカーの創業の原点でもある」とあいさつ。

 続けて、3月にいすゞと日野自動車と商用事業での連携を発表したことに触れ、すでに輸送現場の課題解決に取り組んでいることを紹介しつつ、「今回このプロジェクトにスズキとダイハツも迎え、軽自動車が支えている人々の暮らしをもっとよくしていくことに挑戦していく」と協業への想いを語った。

今回2社が加わり計5社での協業体制となった

 日本の自動車保有総数7800万台のうち、約40%の3100万台が軽自動車で、地域によっては50%を超える場所もある。また、日本の道路の85%は軽自動車サイズだからこそスムーズに行き来ができるような狭い道で、豊田社長は「軽自動車は日本の道が作った国民車であり、実用的で持続可能な日本のライフラインと言える」と軽自動車がいかに日本にとって重要なクルマであるかを説いた。

 とはいえ、CASE技術やカーボンニュートラルといった自動車産業が直面している100年に1度の大変革期は軽自動車にも迫っていて、ここで軽自動車をなくさないためにも60年にわたり農業や配送業も含め、軽自動車を進化させ守り続けてきたスズキとダイハツと一緒に、トヨタの持つCASE技術を使って軽自動車をさらに進化させたいという。

軽自動車の比率はとても高い

 また、豊田氏は「軽商用は収益面だけを考えれば非常に厳しいと思うが、日本になくてはならないクルマ」と自論を展開し、今回スズキとダイハツが一緒に動くことで、いすゞと日野自動車の「商用」に加えて「軽自動車」の軸でも協調の輪が広がり、もっといいモビリティ社会に近づく、個社の枠を超えて、日本のため、地球のために意志と情熱を持って行動していくと締めくくった。

軽自動車という芸術品のバトンを未来につなげたい

 続いてスズキの代表取締役社長である鈴木俊宏氏は「3月に行なわれたCJPの会見を見ていて、物流拠点とお客さまの家までを結びつけることで、より社会を豊かにできるのではないかと思った。商用車の58%を占めている軽自動車も参加しなければならない。参加することでもっと世の中に貢献できると思い、4月初めの社内会議で話した」と振り返った。

いすゞ、日野、トヨタ、3社社長の共同会見 豊田社長「いすゞと日野に協調というフレンドシップが生まれた」

https://car.watch.impress.co.jp/docs/news/1314206.html

 特に軽自動車は、地域の移動、農林水産、建設、小売り、物流など、さまざまな用途に使われている“なくてはならない存在”だが、カーボンニュートラルを実現するには単独では非常に難しく、社会全体で同じ目標に向かって取り組んでいく必要があると考えダイハツに相談していたところ、豊田社長から「一緒に日本のライフラインを守っていこうと声をかけられ、その理念と目的に共鳴してCJPへの参加を決めた」と、協業までの流れを説明した。

商用車の過半数が軽商用車という
軽自動車という“芸術品”を作りあげた鈴木修相談役

 また、6月に代表取締役会長を退任して相談役に就任した鈴木修氏が、軽自動車のことを「さまざまな制約の中で作りあげた芸術品」と表現していると紹介しつつ、「時代の変化に合わせて進化させ、生活をより豊かにする芸術品のバトンを未来につなげたい。それが使命であり願いである」と自身の思いの丈を語った。

コネクティッド、ADAS、電動化を、まずやってみる

 ダイハツ工業の代表取締役社長 奥平総一郎氏は、今回の協業に至る経緯と協業の内容についての解説を行なった。前途のように日本の自動車保有総数7800万台のうち、約40%の3100万台が軽自動車だが、さらにその約4割が軽商用車であるという。また、軽商用の販売数は底堅く推移していて、法人だけでなく個人事業主からも根強いニーズがあると紹介。「だからこそ、カーボンニュートラルへの対応とCASE技術を普及させ、ユーザーの生活をより豊かにすることが、軽自動車メーカーの責務であると考えている」と奥平氏。

LCA観点でのCO2排出量について
日本の物流業者数

 また、軽自動車はこれまで「シンプルな工場」「簡素な設計素質」「スリムな固定費」など廉価なモノづくりを徹底して突き詰めてきた背景があり、すでに現時点でLCA観点のCO2排出量は普通乗用車より30%ほど低く、コンパクトHEV(ハイブリッド車)に匹敵する値であることを紹介。しかし奥平氏は「今の価格を維持したまま、CASE技術の投入やカーボンニュートラルを達成するのは並大抵のことではない」と、直面している課題の大きさについて言及した。

 そして今回の協業により奥平氏は「商用のプロであるいすゞと日野自動車に、トヨタのCASE技術が加わり、そこに軽自動車を支えてきたスズキとダイハツが参画することで、大動脈から毛細血管までカバーできる“一気通貫の商用基盤”や、先進技術と廉価なモノづくりの融合による軽自動車にふさわしい電動化の実現など、大きなシナジーが生み出せると確信している」と語った。

 協業の主な内容は「コネクティッド」「ADAS(先進安全技術)」「軽商用の電動化」の3点。これら3点を各社と連携しながら、軽自動車も含めた社会実装にトライするとしている。

協業の主となるのコネクティッド、ADAS、軽商用の電動化の3点

 最後に奥平氏は「豊田社長の言う『まずやってみる』を実践し、今後も軽自動車が求めやすく身近な存在であり続けるために、小さく・軽く・安くにこだわっていく」と締めくくった

発表会後には質疑応答も実施

 質疑応答で軽自動車の役割を問われた鈴木氏は「商用車の58%を軽自動車が占めている。コネクティッドにより大口配送と小口配送が一体にできる。今までも血管としてはつながっていたが、引き継ぎが1つのルートではなく、紙だったりベテランの勘だったりでつながっていた。これをCASE技術で効率化が図れると思う。毛細血管の網目をもっと細かくしたり、流れをよくしたりすることで、カーボンニュートラルの時代にあった物流を構築でき、大きな成果に結びつくと思う」と回答。

 また、CJPに2社が加わることで具体的にどんな効果が望めそうかと問われた奥平氏は「ユーザー視点で、困りごとを解決する視点。輸送の課題、カーボンニュートラルの課題を解決する方向で協業するのが前提。物流の大動脈から毛細血管の一気通貫。コネクティッド基盤を一緒にしたい。システムなど仕様の共同開発なども行ない、実装していきたい。トラックはすでにコネクティッドが実装されているが、軽自動車についてはクルマではなくユーザーのスマホに頼っているのが実情。今回参画することでデータを一元管理できるようになり、よりよいサービスを提供できる。無駄を省いてドライバーにもよりよい働く現場を作れると思っている。安心安全技術に関しても、低価格で開発してきたが、これからはもっと高度な安全運転支援技術が必要になると思われるので、1社でやるのではなく、一緒にやることが有効だと思う。電動化についてもユーザーの財布を考えながら低価格でできるようにしているが、よりカーボンニュートラルに近づけるには、コストのこなれた新しい技術が必要になるので、ここでも共同で開発していくことで解決できると思っている。より具体的な内容はこれから詰めていく」と説明した。

 豊田社長も「そもそも3社はライバルであるが、協調したほうがユーザーにはメリットをもたらせる」と付け加えた。

 また、CJPTの中嶋氏も「日野自動車といすゞと一緒に立ち上げたが、すでに具体的なプロジェクトとしては福島県での水素活用プロジェクトがあり、地場のコンビニなど、福島県内で作られた水素を配送に使うという取り組みをやっている。今回はラストワンマイルの課題を抱える東京都のような大都市での展開。地方から荷物がたくさん集まり、生産者から消費者へ届ける大動脈から毛細血管をつなぐというプロジェクトを東京で試す。ジャストインタイムの配送が可能になることで、倉庫のありようも変わってくるのではと思っている。力を合わせることによりサステナブルな物流解決にもつながり、最終的には日本全土に広げていきたい」と想いを語った。

 続いて今回の発表では、軽商用のコネクティッドやADAS、電動化の開発が語られているが、商用と自家用を分けて考えているのか? という質問に対し、鈴木氏は「決して商用車と乗用車を分けている訳ではない。商用車のほうが困りごとが明確だったので、まずは商用車から手を着けたのみ。どんどん広げていく前提で、いいものは乗用車にもグローバルにも広げていくつもりで開発している」と回答。奥平氏も「ユーザー目線で考えると一気通貫でのソリューションを提案できることが、技術開発やプレゼンなどがしやすいと思っている。決して分けてはいない」と、この5社で開発した新技術が軽自動車に搭載される日が楽しみになる回答をしていた。

 また、鈴木修相談役に対しての想いを聞かれた豊田社長は「この国に軽自動車を生み、育て、育て上げた父であり芸術家。自身としてはモータリゼーションの牽引者であり、本当に親父(おやじ)だと思っている。本物の息子さんも隣の隣にいますが……。相談役からは「生きがいは仕事、挑戦は人生である」とメッセージをいただいている。いつか親父(相談役)に『軽のためにいいことしたね。ありがとう』と言わせたい!」と、これからも軽自動車のために活動する決意を語ってくれた。

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2021-07-21 12:22:12Z
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