【シリコンバレー=佐藤浩実】米ズーム・ビデオ・コミュニケーションズが147億ドル(約1兆6000億円)を投じる計画だった米IT(情報技術)企業、ファイブ9の買収が9月30日に破談になった。ファイブ9の株主の賛同を得られなかった。両社は協業を続けるものの、安全保障を巡る米当局の調査も影響した可能性がある。
ズームは7月、コールセンター向けのクラウドサービスを手掛けるファイブ9の買収を発表した。ビデオ会議の技術を応用できるコールセンター事業に本格参入するのが狙いで、ズームにとって過去最大の買収となるはずだった。買収は株式交換で行う計画で、2022年前半の成立を見込んでいた。
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一方、買収をめぐっては米議決権行使助言会社インスティテューショナル・シェアホルダー・サービシーズ(ISS)がズームの成長余地への懸念を示し、ファイブ9の株主に反対するよう推奨していた。同社によれば、30日に開いた臨時株主総会で「必要な数の賛成を得られなかった」。
株価の不安定さが株主の反対を促したとみられる。ズームの株価は新型コロナウイルスの感染が広がった2020年に急上昇したが、買収を発表した7月中旬から30日までに3割近く下落していた。ワクチンの普及が進み経済活動が正常化するなかで、ISSは「より不安定な株式になる」と指摘していた。
9月に明らかになった買収に対する米当局の審査も、株主をためらわせた可能性がある。ズームは中国に開発拠点を持っており、電気通信インフラへの外国の関与を審査する委員会が「米国の国家安全保障にリスクを与えるかどうかを判断する」ための調査が必要と指摘していた。
ズームは21年5~7月期に四半期売上高が初めて10億ドルを上回り、1年で5割超増えた。ただビデオ会議サービスの浸透が一巡したため収益の伸び率は鈍化しており、8~10月期は前の四半期比で減収を見込む。技術や顧客基盤を生かした事業領域の拡大が急務だ。
ズームの広報担当者は日本経済新聞に対し「コンタクトセンターは引き続き、戦略的な優先事業だ」と述べた。ファイブ9などとの協業を続けるほか、22年前半に自前のサービスも始める。ただ、今回の破談で大型の企業買収をしにくくなる可能性は高まる。コロナ後の成長戦略に課題を残す。
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2021-09-30 23:45:18Z
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