三菱電機が鉄道車両向け空調設備などで不正検査を行った問題で、杉山武史社長は2日に記者会見を開き、引責辞任すると表明した。長崎製作所(長崎県時津町)の従業員30人程度の関与を明かし、「組織的な不正」と認めた。同様の不正がほかにないか、緊急対策室を設置して全ての事業部門を対象に調査を行う。
先月29日の問題発覚後、同社の会見は初めて。杉山氏は「鉄道事業者、鉄道を利用される皆様を始め、多くの方に多大なるご迷惑とご心配をおかけして誠に申し訳ありません」と陳謝。「新たな体制で信頼回復に取り組む」ために退任し、今月中をめどに後任を選ぶ考えを示した。外部の弁護士らによる調査委員会を設け、不正の経緯や原因を調べて9月に再発防止策を公表する。
杉山氏は会見で、専用の検査プログラムを設けて架空のデータを基に検査結果を自動作成する不正を行っていたことを正式に認めた。開発段階で品質や性能を調べる「形式検査」と、出荷段階で顧客と取り決めた仕様通りかを確認する「受け渡し検査」の双方で、不正が確認されたという。2016年度以降に計3回、同製作所などを対象にした社内調査を行ったものの、今回の不正は把握できなかったと説明した。
不正が行われた背景について、杉山氏は「我々が考えた品質の水準をベースに判断していた。顧客との関係より、自分たちの論理を優先していた」と述べた。ただ、あくまで社内規定に基づく不正にとどまり、法令違反はないと説明。出荷済みの製品には「安全性に問題はない」(役員)としている。
同社はこれまで、空気圧縮機での不正は約1000台で行われていたとしていたが、新たに500台増加した。空調設備でも少なくとも35年前から約8万4600台で不正な検査が判明している。現時点で同製作所の従業員のうち160人超を対象に聞き取りが行われ、調査が進めば不正に関与した人数は増える可能性がある。
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2021-07-02 12:32:00Z
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