米国株式市場のS&P500種株価指数は前日比ほぼ変わらず。今週はパウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が積極的な金融引き締めが終了に近づいていることを示唆。株式と米国債市場のリスク志向を高めた。
FOMC、3会合連続で金利据え置き-24年に複数回利下げを予想 (3)
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
S&P500種株価指数 | 4719.19 | -0.36 | -0.01% |
ダウ工業株30種平均 | 37305.16 | 56.81 | 0.15% |
ナスダック総合指数 | 14813.92 | 52.36 | 0.35% |
最新の連邦公開市場委員会(FOMC)予測は、来年に3回の利下げを見通す内容だった。ハイテク株の比重が高いナスダック100指数はこの日、2年ぶりに終値ベースで最高値を更新。S&P500種とナスダック100はいずれも週間ベースで7週連騰。
ニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁は経済専門局CNBCとのインタビューで、金利を3月にも引き下げることを考え始めるのは早過ぎると述べたが、リスクオンの流れを止めるには至らなかった。
エバコアのクリシュナ・グハ副会長はニューヨーク連銀のウィリアムズ総裁による発言について、「数年かけてゆっくりと正常化していく軌道への誘導が目的だと考えている。3月にも利下げ開始という市場観測を押し返す意図もあるだろう」と述べた。同氏は利下げが始まるのは5月か6月になる可能性が高いとみている。
アトランタ連銀のボスティック総裁はロイターに対し、来年後半に2回の利下げしか予測していないと発言。金利スワップ市場では来年に最多6回の利下げが織り込まれている。
ニュースレター「ザ・セブンズ・リポート」を創業したメリルリンチの元トレーダー、トム・エッセイ氏は「S&P500種株価指数は2カ月足らずで10%超上昇してきたため、何らかの消化が必要だ」と指摘。「それは近いうちに実現する可能性が高い。特にFRB当局者らが向こう1、2週間内に市場の熱気を言葉で押し戻すようなことがあれば、なおさらだ」と述べた。
個別銘柄ではドキュサインが一時15%急伸。事業売却を検討するためアドバイザーと協力していると、米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ)が報じた。また海運大手のマースクが紅海航行を見合わせるよう全船舶に指示したことを受け、マースクや独ハパックロイド、イスラエルのジム・インテグレーテッド・シッピングなど海運株が欧米株式市場で急伸した。
米国債
米国債市場は静かな取引。経済データへの反応は限定的だった。ニューヨーク連銀総裁の発言後は一時的に売りがかさんだが、すぐに落ち着きを取り戻した。欧州国債市場のブルフラットニングに続き、米国債も長期債がアウトパフォームした。
国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
---|---|---|---|
米30年債利回り | 4.01% | -2.3 | -0.58% |
米10年債利回り | 3.91% | -0.8 | -0.20% |
米2年債利回り | 4.45% | 5.9 | 1.34% |
米東部時間 | 16時55分 |
10年債利回りは一時約2bp下げる画面もあった。30年債利回りも下げ、一時4%を下回った。来年の早期利下げ観測に否定的なニューヨーク、アトランタ両連銀の総裁発言を受け、期間の短い債券が比較的軟調となった。
BMOファミリー・オフィスのキャロル・シュライフ最高投資責任者(CIO)は「債券利回りは今年、著しく変動性が高かった。金利のニューノーマルがどういう水準になるのか、市場参加者が探っていたからだ」と指摘。「10年債利回りの長期的なニューノーマルは、4%から4.5%の間ではないかと当社はみている」と述べた。
外為
外国為替市場のドルは上昇。ニューヨークなど地区連銀の総裁発言で、将来の利下げ期待が後退した。資源国通貨が再び堅調。金属価格の上昇と、中国の景気刺激措置が好感された。ユーロはドイツとフランスの購買担当者指数(PMI)悪化を嫌気して下落。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
---|---|---|---|
ブルームバーグ・ドル指数 | 1226.42 | 4.55 | 0.37% |
ドル/円 | ¥142.17 | ¥0.28 | 0.20% |
ユーロ/ドル | $1.0895 | -$0.0098 | -0.89% |
米東部時間 | 16時55分 |
ウィリアムズ総裁から市場の熱狂を冷まそうとするような発言があったものの、今週明らかになったFRBのトーンは欧州中央銀行(ECB)よりハト派的だった。ECB政策委員会メンバーのミュラー・エストニア中銀総裁は、ECBが来年上期に利下げを開始することに賭けるなら、市場は先走りすることになるとの考えを示した。ラガルド総裁は「利下げについては全く議論しなかった」と述べた。
スイスクオートのシニアアナリスト、イペック・オズカルデスカヤ氏は「強じんな米経済がハト派的な姿勢を取り、衰退する欧州経済がタカ派的な立場に固執している。そのコントラストは何かが間違っているという印象を与えている」と述べた。
主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は、週間では1.4%下落。ノルウェー・クローネは同4.2%上げた。
S&Pグローバルが発表した米国の12月サービス業PMI速報値は予想を上回った一方、同製造業PMI速報値は予想に届かなかった。
ドルは対円で0.7%のレンジで取引された。週間では1.9%下げ、2020年5月以来の5週連続安。1週間ベースのボラティリティーは17.2%。19日の日銀政策会合では政策据え置きが広く予想されているが、マイナス金利政策が終了に向かっていることを示唆するとの臆測が広がっている。
対ドルでのユーロは週間で1.3%上昇した。
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原油
ニューヨーク原油先物相場は小反落。来年の米政策金利見通しを意識した売り買いが交錯し、日中は不安定な値動きとなった。週間ベースでは8週間ぶりの上昇。
ウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)原油は早い時間帯には買われていた。ただ、ニューヨーク連銀総裁が来年3月の利下げについて考えるのは「時期尚早」と語った後は急失速し、一時1.8%安まで下げる場面もあった。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物1月限は前日比15セント(0.2%)安の1バレル=71.43ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント2月限は6セント下げて76.55ドル。
金
ニューヨーク金相場は反落。米金融当局者の発言に敏感に反応した。
スポット価格は早朝の時間帯には上昇していたが、 ニューヨーク連銀総裁の発言を受けて来年早期の米利下げ観測が後退し、売りが優勢となった。さらに午後にアトランタ連銀総裁の発言が伝わると下げ足を速めた。
積極的な利下げとなれば利息を生まない金の妙味は相対的に高まることになるため、利下げ見通しの後退は金相場には弱材料となる。
ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物2月限は前日比9.20ドル(0.45%)安の1オンス=2035.70ドルで取引を終えた。
原題:Nasdaq 100 Caps Pivotal Fed Week at Record High: Markets Wrap(抜粋)
Treasuries Mixed, Flatter; Core European Rates Lead Price Action(抜粋)
Dollar Trims Week’s Slump as Rate Cut Bets Recoil: Inside G-10(抜粋)
Oil Swings as Hawkish Fed Comments Rein in Crude’s Relief Rally(抜粋)
Gold Trims Weekly Gain as Market Rethinks Fed Pivot to Easing(抜粋)
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2023-12-15 21:56:00Z
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