自民・公明両党は14日、2024年度の与党税制改正大綱をまとめた。1人当たり4万円の所得税などの定額減税に加え、企業に賃上げを促す税制の強化や投資減税の創設などを盛り込んだ。少子化対策として子育て世帯や若い夫婦を税制面から支える内容とした。
大綱には中長期を念頭に「法人税率の引き上げも視野に入れた検討が必要だ」と記した。個人や企業向けの負担軽減策の一方で財源を確保する重要性にも触れた。防衛力強化のための増税を始める時期については明示を見送った。
所得税3万円と住民税1万円の定額減税は24年6月に実施する。所得制限を設け、年収2000万円超は除外した。減税は納税者本人に加えて配偶者を含めた扶養家族も対象とする。夫婦と子ども2人の4人世帯なら計16万円の減税になる。
企業の賃上げを後押しする税制では給与総額を前年度から7%以上増やした大企業向けの税優遇枠をつくる。3%前後で推移する物価上昇率を超える賃上げを促す。子育て支援などに積極的な企業に税額控除を上乗せする措置も設ける。
中小企業も税優遇を受けやすくする。優遇を受けられる基準を満たす賃上げをしたものの、赤字で納税しない企業向けに「繰越控除措置」を新設する。税額控除分を5年間を限度に黒字になった決算期に持ち越して使えるようにする。
脱炭素や経済安全保障の観点から重要性が高い製品についても税制面から国内生産を促す。
電気自動車(EV)や半導体、再生航空燃料(SAF)などの生産量に比例して法人税を減税する税制も創設する。EVは1台当たり40万円、半導体はウエハー1枚当たり最大で2万9000円、SAFは1リットルあたり30円などを支援する。
少子化対策の一環で子育て世帯に的を絞った税優遇策も打ち出した。
ローンを組んで住宅を購入した際に所得税などの負担を減らす「住宅ローン減税」では減税対象となる借入限度額の上限を子育て世帯に限って維持し、引き続き負担を減らす。もともと24年から500万〜1000万円引き下げる予定だった。
児童手当の拡大に伴う扶養控除の縮小を巡ってはすべての所得層で給付と負担増の差し引きで実質的な手取りが増える制度設計にした。所得控除額を所得税は38万円から25万円に、住民税33万円から12万円にする。所得税は26年、住民税は27年度から適用する予定だ。
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2023-12-14 05:51:56Z
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