アンハイザー・ブッシュ(AB)インベブは19日、傘下のオーストラリアのビール会社カールトン・アンド・ユナイテッド・ブルワリーズをアサヒグループホールディングスに160億豪ドル(約1兆2000億円)で売却することで合意したと発表した。
同社の発表資料によると、アサヒGHへの売却は2020年第1四半期(4-6月期)までに完了予定としている。アサヒGHの広報担当の桜井啓氏もABインベブの発表内容は事実だと確認した。
オセアニア地域はアサヒGHにとって欧州に次ぐ海外市場で、同地域における売上高は昨年度実績で1747億円。ペプシコーラを扱っていることもあり、飲料の売り上げが同地域では酒類を上回っている。カールトンを取得することで酒類の売り上げを大幅に増やすことが可能になる。
ABインベブはカールトンを売却することでアジア太平洋地域など成長市場での事業拡大に注力する方針。同社は香港市場でアジア部門の新規株式公開(IPO)を実施、最大98億米ドル(約1兆600億円)を調達することを目指していたが、市場環境などを理由に断念した。
同社は16年に当時世界2位のビール会社だった英SABミラーを買収し、1000億米ドル以上の負債を抱え、負債削減策の一環としてIPOを検討していた。19日の発表では、アジア部門のIPOを再検討していることも明らかにした。
SMBC日興証券のアナリスト、高木直実氏と伊原嶺氏は19日午後のABインベブの正式発表前に発行したリポートで、アサヒGHの豪州事業の利益率は8.5%で「事業拡大に向けての展開力には限界がある」と指摘。カールトンを買収して販路を活用することなどで、「圧倒的なスケール感で高収益の事業展開が可能となる」との見方を示していた。
しかし、豪州のビール市場の縮小は年2-3%で加速していることから、成長性に懸念もあるとしている。
ABインベブは「バドワイザー」などの主力ブランドを持ち、韓国では「カス」、豪州では「ビクトリアビター」などを販売している。
アサヒGHは1月、英フラー・スミス・アンド・ターナーからビール事業などを2億5000万ポンド(約337億円)で買収すると発表。16年には、ABインベブから東欧5カ国のビール事業を73億ユーロ(約8850億円)で買収することで合意している。
(アサヒGHの過去の買収案件を最終段落に追加して更新します)
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2019-07-19/-160
2019-07-19 06:20:00Z
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