経営を巡り親会社のヤフーとの対立が表面化したアスクルは7月17日、ヤフーに対し業務・資本提携の解消を申し入れたと発表しました。ヤフーは業績の低迷を理由にアスクルの岩田彰一郎社長に退任を求めていますが、アスクルは「両社対等の立場でのパートナーシップ精神の喪失、上場企業としての独立性の侵害が顕著になった」として提携解消を求めていく考えです(関連記事)。
ヤフーとアスクルは2012年4月に資本・業務提携を締結。ヤフーはアスクル議決権の約45%を保有する筆頭株主であり、アスクルはヤフーの連結子会社化されました。提携の結果、個人向け通販サイトとして「LOHACO」を立ち上げています。
アスクルによると、19年1月、ヤフーがアスクルに対しLOHACO事業の譲渡を検討するよう要請。アスクルは独立委員会と取締役会での審議を経て、譲渡を断ったとしています。
6月27日にヤフーの川邊健太郎社長がアスクルを訪れ、岩田社長に対し退任を要求し、8月2日の定時株主総会で再任に反対すると表明したとのことです。
一方、アスクルは指名・報酬委員会の審議など所定の手続きを経て、7月の当社取締役会で指名・報酬委員会の提案に基づき現任取締役全員の再任案を決議。岩田社長を含む取締役の再任案は、独立企業として正当なプロセスのもと決められたことだとの立場です。
アスクルは、
当社とヤフー社との経営思想の違い、業務・資本提携契約で合意したイコールパートナーシップ精神の喪失、上場企業としての独立性の侵害が顕著になったことを鑑み、もはや当初本提携関係によって実現しようとしていた個人向けECを両社共同で成功させるという目的を達成することができなくなったと考え、本提携関係の解消を申し入れることといたしました。
──と説明しています。
アスクルによると、業務・資本提携では、ヤフー以外の少数株主の利益を傷つけないよう、イコールパートナーシップ(両社対等のパートナー関係)や、アスクルとLOHACOの独立性を最大限尊重することが明記されているとのことです。アスクルは「ヤフーの一連の行為は業務・資本提携契約の精神に反するものであり、当社としては本提携関係の解消が最適な解決と考えます」と、提携解消を求めていく考えです。
ただ、ECを今後も強化していきたいヤフーがアスクルとの提携解消に応じるかどうは不透明。また、アスクルの母体である文具メーカーで、株式の10%超を保有するプラスがヤフーに賛同し、岩田社長の再任に反対を表明したことで、ヤフー側は現時点で議決権の過半数を握っています。
2019年7月17日の株式市場で、アスクル(東証1部)の株価が急騰し、終値では前日比283円増(+12.18%)の2606円まで上昇しました。値上がり率は全市場で8位にランクインしています。ヤフーとの提携解消申し入れを巡り、新たな提携先が現れれば、株価も一波乱あるかも──といった思惑がありそうです。アスクルの株式時価総額は17日終値ベースで1440億円です。
関連記事
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
https://nlab.itmedia.co.jp/nl/articles/1907/17/news125.html
2019-07-17 07:58:00Z
52781819032997
Tidak ada komentar:
Posting Komentar