ヤフーは7月18日、経営などを巡って対立関係にある通販子会社アスクルの岩田彰一郎社長が記者会見を開き、ヤフーを批判した件について、反論のコメントを発表した。岩田社長は、共同運営するECサイト「LOHACO」事業を「このままでは(ヤフーに)乗っ取られてしまう」などと発言していた。ヤフーによると、同事業の譲渡を打診したのは事実だが、アスクルが拒否したことを受け入れており、「今後は譲渡を申し入れる方針はない」という。引き続き、同事業の黒字化に向けて「最大限支援する」としている。
会見で岩田社長は、ヤフーに対して業務・資本提携関係の解消を再度求めることや、株式の売渡請求権の行使を検討することを示唆した。これに対してヤフーは、「関係の見直しについての協議は不要と考えている」「アスクルの株式を譲渡する予定はなく、売渡請求も受けていない」とコメント。アスクルとの交渉に応じない構えを示した。
対立の経緯は?
アスクルとヤフーは、2012年4月に資本・業務提携を締結。同年10月にLOHACOをスタートした。15年にはヤフーによる出資比率(議決権ベース)を約45%に引き上げ、提携を強化した。
だがヤフーは、LOHACO事業で赤字が続いていることや、アスクルの19年5月期の連結業績で、純利益が前年同期比90.7%減となる4億3400万円に低下したことを問題視。19年1月にLOHACO事業の譲渡を、6月には岩田社長の退陣を求めた。
ヤフーは、アスクルが8月2日に開催予定の定時株主総会で、岩田社長の再任議案に反対票を投じる方針を固めている。
アスクルはこうしたヤフーの動きに強く反発しており、岩田社長は18日の会見で「全てが不可解」 だと述べていた。中でも「LOHACOの譲渡を求めたのに、譲渡後のプランを説明していない点が理解できない」などとし、「今、LOHACOを切り離すのは(自社の)利益にならない」と強調していた。
LOHACOの譲渡を提案したのはプラス今泉社長
ただ、かつてアスクルを設立し、09年まで親会社だった第2位株主のプラスも「ヤフーの考えに賛同し、岩田社長の再任に反対票を投じる」との声明を公表している。
会見で岩田社長も認めていたが、アスクルの取締役会で「LOHACO事業の赤字が業績に影響を与えているため、中止や譲渡を考えるべきではないか」と提言したのは、プラスの今泉公二社長(アスクル社外取締役)。ヤフーが派遣している社外取締役ではなかった。
筆頭株主であるヤフーは今泉氏の提言を踏まえ、アスクルにあらためてLOHACOを譲渡するか否かを聞いた。これが、今回の騒動で問題視されている「LOHACO譲渡の打診」の真相なのだという。
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「アスクルのもとで運営するのが最良」「黒字化に向けて協力する」
ヤフーは、アスクルによる「LOHACOは譲渡しない」との結論を了承しており、現在は「LOHACO事業はアスクルのもとで運営していくことが最良」だと認識。今後は「LOHACO事業の黒字化に向けて最大限協力していく」という。
また、会見で岩田社長は「退任を求められているが、後任人事について言及していない」とヤフーを批判。退任要求などにより、「アスクルの上場会社としての独立性が損なわれている」と述べていた。
ヤフーは今回、この発言に対しても反論し、「アスクルの現取締役兼COO(最高執行責任者)である、吉田仁氏または吉岡晃氏が代表取締役社長に就任すると考えている」「同社長の再任が否決された場合は、引き続き、新経営陣とアスクルの意向を尊重する」とコメントした。
ヤフーは一連の主張によって、「アスクルからLOHACO事業を奪う目的で岩田社長を退任させ、ヤフーに忠実な人材を後釜に据えるつもりでは」といった見方を明確に否定した形だ。
ヤフーのコメントを概観すると、同社はあくまで業績悪化に伴う経営トップの交代を求めており、要望がかなった場合はアスクルの支援を続けていく――との意向が読み取れる。
岩田社長は「恥をさらしてでも、再任反対が正しいのか問う」「いままで一緒にやってきた関係なので、他に解決の糸口がないか話し合っていきたい」としていたが、ヤフーの主張をどう受け止め、どういった手を打つのだろうか。今後の動向を注視したい。
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https://www.itmedia.co.jp/news/articles/1907/18/news133.html
2019-07-18 11:33:00Z
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