東京メトロ(東京地下鉄)は12月28日、銀座線渋谷駅の移設工事を公開した。ただし、工事日程がきわめて限られていることもあり、駅内部の様子を見ることはできず、駅外観および移設工事の概要説明を中心にお伝えする。
銀座線渋谷駅は1938年12月に開業。現在では1日約22万人(2018年度)もの乗客が利用する大ターミナル駅となった。しかし、百貨店の建物内に位置するなど物理的な問題もあり、開業以来、大規模な改良を行なうことができなかった。開業当時は先進的な駅だったものの、大幅な乗客増に加え、構造的に上下移動が多く、さらにそのほとんどが階段を利用する必要があるなど、安全面やサービス面で課題を抱えることになってしまったという。
こうした問題を解消するべく2009年2月から移設工事に着手。現在の位置から東に約130m移動するとともに、乗車と降車が分れた2面2線の相対式ホームから1面2線の島式ホームに変更。ホーム幅を現在の約6mから約12mへと拡幅し、1線は頭端式に変更する。もう1線は現状と同じく車庫への引き込み線を兼ねた構造となる。
工事は12月27日の運行が終了した28日0時56分から着手。のべ約5000名が従事し、1月3日の始発まで24時間絶え間なく続けられる。この間のスケジュールは28日にレールの撤去、29日にホーム鉄骨の設置、30日にホーム床(PC床)設置、31日にホーム柱、ホーム床(低床合板)設置、1月1日に自動改札やホーム端の安全柵などホーム上設備の設置、2日に安全確認および案内設備などの設置、となっている。
開業81年目にして実施されるホーム移設
東京メトロ 改良建設部 第二工事事務所 技術課長の西川佑氏が工事概要を説明した。西川氏は銀座線渋谷駅の改良工事について、「2009年2月から10年以上工事を行なっている」と前置き。今回の工事では使用していた線路上がプラットホームとなることから、線路を移動してから新しいホームを作る必要があるとして、一般的なホーム設置と異なる点を説明した。
また、営業運転中のJR埼京線に工事部分が掛かることから、「絶対にモノが下に落ちない徹底的な防護、安全対策を実施」「重要な作業については深夜の時間帯に実施する」ほか、JRにも最大限の協力をいただいているとコメント。加えて、デザイン面での新しい渋谷駅の特徴とも言えるM形アーチも、工事作業面では材料の搬入、搬出を困難にしていると言い、屋根上や側面に開口部を設けたほか下部にもバラスト搬出用のシューターを設置する、といった工夫を行なうことで短い工期を実現していると説明した。
工事期間初日、朝9時の段階では「古い線路の撤去が完了しバラストを除去している」と、順調に進捗しているとのこと。1月3日にお目見えする新しい渋谷駅について「さまざまな課題が解消され、ホーム幅員が広がり、快適に、さらにバリアフリー設備も整った駅に生まれ変わる。皆さまが快適にご利用できる駅になる」と紹介した。
工事に伴い銀座線は一部区間運休
この工事に伴い期間中、銀座線は渋谷~表参道間、青山一丁目~溜池山王間が運休。表参道~青山一丁目間、溜池山王~浅草間で折り返し運転を実施する。表参道~青山一丁目間は折り返し線がないため、複線を使って車両2本でのピストン輸送となるが、信号など保安設備の関係もあり乗車できるのは1方向のみ。
具体的には表参道発は青山一丁目まで乗客扱いを行ない、回送で表参道に戻り、再度青山一丁目行きになるという具合。下り線は下り方向のみ、上り線は上り方向のみ客扱いを行なうワケだ。
振り替え輸送は東京メトロ全線のほか都営地下鉄全線、JR、各私鉄。こうした運休を伴う線路切り換え工事は2016年11月、2018年5月に続く3回目で、2020年以降も引き続き駅東側の工事が行なわれる予定となっている。
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2019-12-28 07:23:17Z
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