【ニューヨーク=後藤達也】6月の米消費者物価指数(CPI)の前年同月比の上昇率は5.4%となり、市場予想(4.9%)を上回った。ただ、4月分の発表時とは異なり、今回は株価急落といった金融市場の反応はなかった。物価の上振れは一時要因が強く、今年後半には徐々に鈍化するとの見方が多いためだ。
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「予想よりもはるかに強い数字だった」(シティグループのベロニカ・クラーク氏)。リフィニティブの事前集計では6月のCPI上昇率の市場予想範囲は4.7~5.1%だった。結果(5.4%)は予想の上限を上回り、2008年8月の原油高騰時以来の上昇率を記録した。
13日の株式市場の反応は比較的小さなものにとどまった。ダウ工業株30種平均の終値は前日比107ドル(0.3%)安の3万4888ドル。12日には史上最高値をつけており、利益確定売りのきっかけにはなったが、金融緩和の早期修正といった懸念は限られた。
モルガン・スタンレーのエレン・ゼントナー氏は「上振れの大部分は供給要因や経済再開による一時的な急上昇によるものだ」と指摘する。特に中古車は半導体不足による生産減が尾を引き、前月比でも10%を超える伸びとなった。
小売価格のCPIより先行性がある中古車の卸売価格は高騰に一服感が出ている。卸売りのオークション価格の指標であるマンハイム指数は6月に前月比で小幅ながら低下に転じた。高騰で買い手がつきづらくなっているほか、今後はレンタカー業者の旺盛な需要や半導体不足といった需給逼迫も和らぐ方向に向かうとみられている。
リフィニティブが集計するエコノミスト予想は2021年後半のCPIの前年同期比は3%台の予想が多い。2022年春ごろには米連邦準備理事会(FRB)の物価目標である2%程度に落ち着くとの見方が優勢だ。
FRBのパウエル議長は最近のインフレは一時的要因であり、金融政策運営に影響しないと繰り返している。2021年後半に物価上昇率が鈍っていくならば、足元のインフレが金融緩和修正につながる可能性は低いという見立てが市場で浸透しつつある。米10年債利回りは13日に1.4%台へと上昇したものの、3月のピークと比べれば0.3%ほど低い水準だ。
ただ、これまで前例のない財政出動や金融緩和を進めてきたほか、経済再開後の個人消費の動きは経験則での予測は難しい。パウエル議長自身も「インフレが予想以上に高くなり、持続する可能性がある」と認めている。今後、雇用の急回復とともに賃金上昇圧力が強まれば、2%を大きく上回る物価上昇率が22年以降も続く可能性がある。
市場は2022年はじめごろにFRBが資産購入の減額をはじめ、22年後半~23年前半に利上げに踏み切るとの予想が多い。物価上昇率が見立て通りに鈍らなければ、早期利上げ観測が再燃し、株価の急落を招くリスクもある。
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2021-07-13 21:18:18Z
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