22日の米株式相場は大幅高。エヌビディアが示した強気見通しが人工知能(AI)熱狂に再び火を付けた。米経済が力強さを維持していることも経済統計で示された。
株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
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S&P500種株価指数 | 5087.03 | 105.23 | 2.11% |
ダウ工業株30種平均 | 39069.11 | 456.87 | 1.18% |
ナスダック総合指数 | 16041.62 | 460.75 | 2.96% |
米国と欧州、日本で株式相場は過去最高値を更新。エヌビディアは22日の市場で16%上昇し、株式時価総額に2770億ドル(約41兆7000億円)余りが加算された。一日での増加額としてはメタ・プラットフォームズが記録した1970億ドルを上回り、米史上最大を記録。エヌビディアの強気派は新たな決算の数字を得て、株価収益率(PER)を計算し直そうとしている。同社の利益はこれまで、株価よりも速いペースで成長している。
メイン・ストリート・リサーチの最高投資責任者(CIO)、ジェームズ・デマート氏は「現在のエヌビディアを作り上げたのはその極端に強い業績だ」と指摘。「同社のように前年比で265%の増収を成し遂げれば、特別に高いバリュエーションに値する」と述べた。
先進国と新興国の両方をカバーするMSCI世界指数は、過去最高を更新した。ナスダック100指数は3%上昇。S&P500種株価指数は2023年1月以来の大幅高。160億ドル規模のバンエック半導体上場投資信託(ETF)は6.8%急伸。アドバンスト・マイクロ・デバイセズ(AMD)とブロードコムも上場来高値を更新した。AIへのエクスポージャーを求める投資家に人気のスーパー・マイクロ・コンピューターは33%の値上がりとなった。
米製造業と住宅、労働市場に関する各統計も堅調な数字となり、株式相場を押し上げた。
カーソン・グループのライアン・デトリック氏はエヌビディア決算について「ハードルは非常に高かったが、信じ難いことに、またしてもそれを上回りホームランを放った」と語る。
メインストリートのデマート氏は、すでにエヌビディア株を保有している投資家は株を維持すべきであり、売って将来の成長を逃すようなことは避けたいと発言。「AI技術の変革はまだ始まったばかりだ」と述べた。
「エヌビディア株を持っていない投資家は、押し目で買うのが狙い目だ」と同氏は続ける。「エヌビディア株は今後、調整が入ったり下振れしたりするだろう。しかし不安の壁を乗り越えて上昇を続けていくはずだ」と述べた。
ハイテクセクター以外の業界では株価がそれほど強く上昇していないことについて、ミラー・タバクのチーフ・マーケット・ストラテジスト、マット・メイリー氏は「株式市場が今年の堅調をさらに大きく伸ばすには、今年見られる以上にマーケットが大きく広がりを見せることが重要になる。この考えに変わりはない」と発言。「当社が言おうとしているのは、現在の株式市場でハイテクが最も重要なセクターではあるが、他のセクターにもチャンスは豊富にあるということだ」と続けた。
個別銘柄ではAT&Tが未明から障害が続いていた携帯電話回線の復旧を発表した。 連邦捜査局(FBI)と国土安全保障省は、数万人が発着信できなかった原因の調査に着手した。モデルナの昨年10-12月(第4四半期)決算は売上高がアナリスト予想を上回った。新型コロナウイルスワクチンのシェア拡大が寄与した。
米国債
米国債利回りは年初来の最高水準を更新。新規失業保険申請件数が予想外に減少したことから、強い米経済見通しに基づいたリスク志向があらためて強まった。
国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
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米30年債利回り | 4.46% | -2.1 | -0.48% |
米10年債利回り | 4.32% | 0.4 | 0.09% |
米2年債利回り | 4.71% | 4.8 | 1.02% |
| | 米東部時間 | 16時53分 |
米国株式相場の大幅高と、企業の大型起債が相次いだことも利回り上昇に影響し、年内の利下げ観測はさらに後退した。今年予想される利下げ幅は、合計80ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)前後に縮小。ピーク時には150bpを上回っていた。
10年債利回りは一時3bp上昇し4.35%と、昨年11月30日以来の高い水準を付けた。
アプタス・キャピタル・アドバイザーズの債券ポートフォリオマネジャー、ジョン・ルーク・タイナー氏は「政策金利が引き下げられない限り、長期債利回りが大きく下げることは実に想像し難い」と話す。一方で企業の大型起債が相次いでいるのは、事業の展開に鑑みると現在の金利での調達は悪くないという経営者の考えを示唆しており、米国債市場も資金調達競争に参戦していると述べた。
ジェファーソン副議長、過度な緩和に警鐘-年内の利下げ開始が適切に
新規失業保険申請件数が今年2番目に低い水準だったのは、強い労働市場環境を示唆しており、そうした環境は米連邦公開市場委員会(FOMC)を利下げ圧力から守っている。
「大型ハイテク株を巡るストーリーが大きく展開しているが、それと同時に注目してほしいのは、6週間前から米金融政策の見通しが著しく修正されていることだ」とブラックロック・インベストメント・インスティチュート(BII)の調査責任者ジャン・ボアバン氏は話す。「緩和サイクルは浅くて、非常に控えめなものになり、インフレには上方向のサプライズが起こり得るという見方だ」と説明した。
外為
ニューヨーク外国為替市場のドル指数は前日とほぼ変わらず。米経済の強さが経済統計で浮き彫りになる中、一時上昇したが、伸び悩んだ。
主要10通貨の中ではノルウェー・クローネが最も軟調。スイス・フランと円がそれに続いた。円は対ドルで150円台で推移した。
為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
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ブルームバーグ・ドル指数 | 1242.05 | -0.14 | -0.01% |
ドル/円 | ¥150.53 | ¥0.23 | 0.15% |
ユーロ/ドル | $1.0824 | $0.0005 | 0.05% |
| | 米東部時間 | 16時54分 |
2月の米製造業活動を示す指数は前月から上昇し、2022年9月以来の高水準となった。受注の伸びが力強さを増し、製造業者が長期の低迷から脱しつつあることが示唆された。
ブラウン・ブラザーズ・ハリマンの為替戦略世界責任者、ウィン・シン氏はこのデータが裏付けるのは、米経済が力強さを維持していくというシナリオだと指摘。「どちらかといえば、利下げは6月以前よりも6月後の可能性が高いと思われる」と述べた。
フィラデルフィア連銀のハーカー総裁は、今年中に政策金利を引き下げるのが適切になりそうだと述べつつ、時期尚早な緩和のリスクを強調した。
日本銀行の植田和男総裁は足元の物価動向について、デフレではなくインフレの状態にあるとの見解を示した。
原油
原油相場は続伸。週間統計で原油在庫が予想ほど積み上がらず、現物市場の需給の引き締まりがさらに意識された。
統計によると、米原油在庫は前週比351万バレル増加。伸びは多くの市場関係者の予想を下回った。製油所の稼働率は年初からの低下傾向にようやく歯止めがかかった。操業停止やメンテナンスを経て施設が再稼働するのに伴い、向こう数週間に上昇する可能性がある。そうなれば、原油需要を押し上げそうだ。
北海ブレントとウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)のプロンプトスプレッド(当限月と来限月の価格差)はいずれもバックワーデーションが拡大しているほか、WTI原油先物の受け渡し拠点であるオクラホマ州クッシングの供給バランスに関する指標も改善。いずれの指標も、目先の供給が逼迫(ひっぱく)していることを示す強気なサインだ。
CIBCプライベート・ウェルスのシニア・エネルギー・トレーダーのレベッカ・バビン氏は「こうしたデータは全体的なシナリオを大きく変えるものではないが、芽吹きの兆候が出ており、需要崩壊の懸念を和らげるかもしれない」と語った。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のWTI先物4月限は前日比70セント(0.9%)高の1バレル=78.61ドルで引けた。ロンドンICEの北海ブレント4月限は0.8%上げて83.67ドル。
金
金相場は下落。背景には、新規失業保険申請件数が予想外に減少したことに加え、前日公表された1月開催分のFOMC議事要旨で、利下げを急がない姿勢が示されたことがある。これは利子を生まない金にとって通常マイナスとなる。
INGグループの商品ストラテジスト、エワ・マンゼイ氏によると、米金融当局によるタカ派なシグナルにもかかわらず、ウクライナと中東で地政学的リスクが続く中で、金価格は安全資産としての需要に支えられオンス当たり2000ドルを上回って推移している。金相場は経済データや地政学的イベント、米金融当局の金利政策に反応するため、向こう数カ月も不安定な状況が続くと同氏は予想している。
金スポット価格はニューヨーク時間午後3時38分現在、前日比2.47ドル(0.1%)安の1オンス=2023.52ドル。一方、ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物4月限は3.60ドル(0.2%)下落し2030.70ドルで引けた。
原題:Stocks Rally as AI Craze Sweeps Across the World: Markets Wrap(抜粋)
Treasury Yields Rise to Year’s High as Risk Appetite Gets Boost(抜粋)
Dollar Wavers as US Data Shows Resilience; Yen Lags: Inside G-10(抜粋)
Oil Rises Near Upper End of Range on Signs of Tighter Market(抜粋)
Gold Fluctuates as Traders Digest Jobless Claims, Fed Minutes(抜粋)
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2024-02-22 22:02:00Z
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