[1日 ロイター] - 米連邦準備理事会(FRB)は30─31日に開いた連邦公開市場委員会(FOMC)で、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標を5.25─5.50%で据え置いた。据え置きは4会合連続。声明でインフレ懸念に関する文言を和らげたほか、金利引き上げの可能性を巡る言及を削除し、向こう数カ月の利下げの可能性に向け大きな一歩を踏み出した。
市場関係者に見方を聞いた。
◎想定の範囲内、日経平均は値固めに
<大和証券 チーフ・グローバル・ストラテジスト 壁谷洋和氏>
声明では、利下げはインフレ率が2%目標に向かうとの確信が深まるまで適切だとは考えていないとしたが、当然の話であり、サプライズではない。一方、政策金利がピークに達している可能性が示唆され、時期は前後するにしても利下げに向かうとの市場の見方に変化はない。
米株の下落は、期待先行で買われていた反動だろう。指数の下げは急落とまではいえない。大きな波乱はなかったといえるのではないか。まだ、米大手ハイテク決算や雇用統計が控えており、足元の経済実態を見極める局面は続く。米国株はこれまでのような上昇ペースはいったん落ち着き、当面は一進一退になりやすいだろう。
◎雇用悪化に警戒必要
<バークレイズ証券 チーフ為替ストラテジスト 門田真一郎氏>
FOMCは早期利下げ観測をけん制するタカ派的なものであったが、ADPの1月民間部門雇用者増加数が予想を大きく下回ったことなどで、前日のドルは上下に振れる荒い動きとなった。
これまで米国は、物価上昇は鈍化してきたが景気は強い状況が続いていた。これでもし雇用が悪化し始めているようなら、早期の利下げ議論が再浮上する可能性がある。あすの雇用統計をはじめ、来週以降の物価統計なども確認したい。
米金利先物市場が織り込む3月の利下げ確率は、FOMC前の42%から35%に低下したが、5月の確率は79%から97%にむしろ高まっている。
◎利上げ可能性消滅、半年内の利下げに確信深まる
<りそなホールディングス 市場企画部ストラテジスト 石田武氏>
今後の政策見通しとして、利上げの可能性が完全に消滅したということと、3月ではないにせよ利下げをするのだとあらためて確認できたことが大きい。
朝方出た経済指標が弱かったこともあるが、中長期金利の観点からは、半年以内に利下げをすることへの確信度合いが深まったことが重要で、金利は低下(債券買い)している。一方、少しでも早く利下げしてほしい株式市場では失望を誘ったようだ。
(金利先物)市場の織り込みとしても、3月利下げの織り込みが低下した一方、5月についてはほとんど変わっていない。利下げタイミングの焦点が3月から5月に移っただけということも、今回、「3月利上げが無いならば金利上昇」という動きにならなかった背景だろう。
市場では3月利下げの織り込みがまだ3割強残っており、それがゼロになる過程では一旦(米)金利が上がる局面もあると思うが、長い目で見れば、金利は低下していく可能性の方が高いとみている。
日本の金利については、日銀がきのう公表した(1月の金融政策決定会合における)「主な意見」がサプライズ的にタカ派で、こちらも利上げを「やる、やらない」の議論ではなく、3月か4月に「やることは間違いない」という状況だ。米金利が大幅低下した時には追随する場面もあるだろうが、日本の金利は基本的には、ここからマイナス金利解除に向けて少しずつ上昇する展開を想定している。
◎利下げに向け小さな一歩踏み出す
<アネックス・ウェルス・マネジメントのチーフエコノミスト、ブライアン・ジェイコブセン氏>
リスクバランスが改善したと言うことで、FRBは利下げに向けて小さな一歩を踏み出している。インフレ率が2%に向けて持続的に推移するとの十分な確信を得るには3月は早すぎるだろうが、それまでに量的引き締め(QT)を縮小することが適切となる。
◎次の動きは利下げ、市場予想ほど急がず
<ペッパーストーン(ロンドン)の市場アナリスト、マイケル・ブラウン氏>
FRBは予想通りに一段とハト派的な一歩を踏み出した。声明で引き締めバイアスを示さず、次の動きが利下げになることが示唆された。
ただ、市場で予想されているほど急速な利下げをFRBが急いでいないのは明らかだ。利下げに着手するには一段と有望なインフレデータが必要になる。
◎インフレ安定確信には何が必要か
<プリンシパル・アセット・マネジメント(ロンドン)のチーフグローバルストラテジスト、シーマ・シャー氏>
FRBが利下げのフォワードガイダンスに消極的なのは驚くことではない。労働市場や経済活動のデータが好調であるため、FRBの予測に若干のためらいが生じるのは避けられない。
インフレ率の改善はかなりのものだが、基調的な経済がこれほど堅調である限り、インフレ圧力再燃のリスクは無視できない。
コア個人消費支出(PCE)価格指数がすでに2%付近に向けて低下基調にある今、政策担当者がインフレが持続的に2%に向かっていると「より確信」を持つためには何が必要なのか、市場は正確に理解したいと考えている。コアPCE価格指数が2%であることを示す月が続くだけでいいのか、それとも労働市場が冷え込んでいることを示す明確な証拠があって初めて安心するのか。
いずれにせよ、今後数週間の当局者発言に耳を傾けることも、同じくらい重要だ。他の当局者が、パウエルFRB議長の今日の発言から認識を後退させる可能性があるためだ。
◎柔軟性確保しつつ緩和の方向性提示
<トゥルイスト・ウェルスのチーフ市場ストラテジスト、キース・ラーナー氏>
雇用統計やインフレ指標など今後発表されるデータがまだ幾つかあるため、パウエルFRB議長は柔軟性を維持した。柔軟性を確保しつつ、FRBが緩和スタンスに向かうという方向性を示した。
市場は荒い値動きとなったが、全体としては予想に沿った内容で、大きなシフトではない。
ただ、パウエル議長がより直接的かつ強い姿勢で3月利下げをけん制したのはネガティブだ。この発言直後に小型株がより大きく下げたのはそのためだ。
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2024-02-01 02:15:00Z
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