【広州=川上尚志】中国通信機器最大手の華為技術(ファーウェイ)は17日、米国による制裁の影響で今後2年間は売上高が計画比で300億ドル(約3兆3千億円)程度減るとの見通しを明らかにした。主力事業のスマートフォンの世界販売は19年に2割減り、年間4000万台規模の減産が見込まれる。部品コストの2割を米国企業に依存するなど今後、世界のサプライチェーンに大きな影響を与えることになりそうだ。
同社の経営トップである任正非・最高経営責任者(CEO)が17日、広東省深圳市の本社で米有識者と対談し、今後の経営の見通しを明らかにした。米制裁の影響を、数値で対外的に公表するのは初めて。
任氏は年間売上高について「今後2年間は1000億ドル前後になるだろう」と述べた。ファーウェイの18年の売上高は1051億ドル(約11兆4000億円)。19年は約2割の増収を計画していたが、横ばい程度にとどまる見通しだ。
特にスマホ事業が全売上高の約5割を占めており、影響を受ける。同社は18年に世界で約2億台のスマホを出荷した。そのうち約半分の1億台が海外向け。19年は年4000万台程度減る見込みだ。日本の携帯電話の出荷台数は年3000万強で、ファーウェイの1年間の減産はそれを上回る規模となる。
米商務省は5月、ファーウェイに対する事実上の輸出禁止措置を発動し、米企業が部材やソフトウエアを輸出することを禁じた。スマホの生産はグローバルなサプライチェーンの上に成り立っている。機種にもよるが、1台の端末を製造する際、一般的なスマホメーカーは、コスト全体の6~7割を他国の部品メーカーからの調達に依存している。ファーウェイの大規模な減産は中国だけの問題に留まらず、米国を筆頭に日本や台湾、韓国など多くの部品メーカーに広く影響を与えることになる。
ファーウェイは世界に1万社を超える取引先があり、世界での部材などの調達額は18年に約700億ドルだった。米国での取引先は1200社を超える。日本でもソニーや東芝メモリ、ジャパンディスプレイ(JDI)など幅広い企業が電子部品を供給する。
任氏は5月下旬時点では米制裁について「当社がマイナス成長になることはない」と述べていた。ただファーウェイは今夏にも投入する予定だったパソコンの新機種の発売延期を決めたほか、中国内の一部工場では「残業が無くなり、仕事が減っている」(工場従業員)との声も出ていた。
任氏は17日、「21年から我々は再び立ち上がることができる」と強調した。だが、米制裁の影響が広がっていることで業績予想の下振れを認めざるを得なくなった。今後、スマホに限らず次世代通信規格「5G」向け基地局など同社の他の主力事業にも米制裁の影響が広がる可能性もある。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46201440X10C19A6MM8000/
2019-06-17 11:00:00Z
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