日銀の黒田東彦総裁は20日、金融政策決定会合を受けて記者会見した。景気について「基調としては緩やかに拡大している」との総括判断を維持しつつ「海外経済を巡る下振れリスクは大きいとみられ、我が国の企業や家計への影響を注視していく」と語った。そのうえで物価安定の実現に向けた勢いが損なわれるような事態になれば「ちゅうちょなく追加緩和を検討する」と強調した。
日銀はこの日の会合で短期金利をマイナス0.1%、長期金利をゼロ%程度に誘導する金融緩和策(長短金利操作)の現状維持を賛成多数で決めた。長短金利操作の現状維持は9人の政策委員のうち7人の賛成多数で決定した。上場投資信託(ETF)などの資産買い入れ方針の継続も決め、2%の物価安定目標の達成をめざす。
プラスマイナス0.2%程度を念頭に置いている長期金利の変動幅については「具体的な範囲を過度に厳格にとらえる必要はない。ある程度弾力的に対応していくことが適当だ」と訴えた。
追加緩和の具体策に関しては「短期政策金利の引き下げ、長期金利目標の引き下げ、資産買い入れの拡大、マネタリーベース(資金供給量)の拡大加速など様々な対応が考えられる。これらを組み合わせて対応していくことも含めて適切な方法を検討する」と語った。「副作用が小さくなり、ネットで緩和の効果が最も大きくなるような措置を検討する」とした。
米連邦準備理事会(FRB)は19日に金融政策の現状維持を決める一方で、早期の利下げの可能性を示唆し、20日の外国為替市場で円高・ドル安が進んだ。黒田氏は「(今回の会合で)世界経済について詳しく議論した」と語った。保護主義の行方に懸念を示したうえで「世界経済は今年後半から成長を加速していくというメーンシナリオは変わっていない」と指摘。「現時点で世界経済の成長が回復せず、不況に陥るということではない」との見解を示した。
政府は経済財政運営の基本方針(骨太の方針)の素案で、海外経済の悪化時には機動的なマクロ経済政策を実行すると明記している。日銀による協力の可能性を問われた黒田氏は「長短金利操作によって、仮に国債が増発されて歳出を増やしても長期金利の上昇が抑えられる」と指摘。「結果的に財政と金融政策のポリシーミックス(政策協調)になりうる」と説明した。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO46337890Q9A620C1000000/
2019-06-20 08:24:00Z
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